第二次世界大戦中、スコットランドにて貨物船が座礁した事件の実話をベースに描いた物語『ウイスキーと2人の花嫁』が2月17日より公開される。それに先駆け、1月24日、現代日本でのウイスキー研究者の第一人者であり、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で監修を務めたウイスキー評論家の土屋守をゲストに迎え、バーテンダーを対象にしたウイスキー試飲付きのスペシャル試写イベントが開催された。
土屋は「1989年に初めてスコットランドを訪れたときに、世界でも有名なスコッチのミニチュアコレクターの家を訪ねました。ボトルコレクションはあまりしない人なのに、“SSポリティシャン号”からダイバーが引き揚げオークションにかけられたボトルを落札して大切にディスプレイしていたのが印象的だった。このとき、実際にあった事件のことを初めて聞いて興味をもち調べるようになった。こんなに面白いことが本当にあったのかと、またそれが『Whisky Galore』という小説になり映画になっているということを知りとても驚いた」と熱く語った。
『Whisky Galore』ゲール語でウイスキーがいっぱいという意味のタイトルの小説は、1947年にスコットランドの小説家によって書かれた。イギリスではロングセラー、ベストセラーとなり知らない人はいない物語で、それを基にして1949年に『Whisky Galore』というモノクロの映画が作られた。この映画は残念ながら日本では一度も公開されていない。土屋はモノクロ版の映画を手に入れたが、日本では再生できず見ることができなかった。そんな中、リメイクされた映画があらたに公開されると知り、“生涯のまたとない好機であり応援団としてぜひ協力したい”という思いから、この日のイベント登壇も実現したのだという。本当に長く生きてきた甲斐があったと喜びが溢れていた。
本作の背景である“SSポリティシャン号”座礁事件の背景については、「“ウイスキーがない世の中は生きるに値しない”と病気になる人もたくさんいたというくらいウイスキーを愛する人々にとって、ウイスキーの配給が止まったことは前代未聞の未曾有の事態だった。そこで、座礁した船に26万本ものウイスキーが積まれていると知って島民は色めきだった。本作ではこの実際にあった事件を軸にして、人々をつなぐウイスキーの存在がとてもよく描かれている。全編ウイスキーへの愛に溢れており、こんなにウイスキーが飲みたくなり、ここまでウイスキーを描いた映画はこれまでないのではないか。ウイスキーに関わる者としては必ず通らないといけない映画だ」と絶賛した。
本編の鑑賞前に知っておくとより面白く観賞できるポイントとしては、「モノクロ版の『Whisky Galore』ではすべて本物の銘柄のロゴでウイスキーが20種類以上登場している。本作ではわざと少し名前をかえて実際にはない銘柄になっているので、それを見つけてみるのも面白いと思う」と語った。
『ウイスキーと2人の花嫁』
監督:ギリーズ・マッキノン
出演:グレゴール・フィッシャー ナオミ・バトリック エリー・ケンドリック エディ・イザード ショーン・ビガー
配給:シンカ
【ストーリー】 第二次世界大戦の戦況悪化の為、ついにトディー島へのウイスキーの配給が止まってしまい、島民たちは完全に無気力に陥っていた。島の郵便局長ジョセフ(グレゴール・フィッシャー)の長女ペギー(ナオミ・バトリック)と次女カトリーナ(エリー・ケンドリック)はそれぞれの恋人との結婚を望んでいたが、周囲から「ウイスキー無しじゃ結婚式はムリ!」と猛反対され困った状況に…。そんな時、輸出用に大量のお酒を積んだニューヨーク行きの貨物船が島の近くで座礁。沈没寸前の船内には、なんと5万ケースものウイスキーが積まれていた!「これはきっと神様からの贈り物に違いない!」。島民たちは禁制品のウイスキーを秘かに“救出”しようとするが…。
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