震災が生んだひずみを乗り越える ドキュメンタリー映画『願いと揺らぎ』小さな漁村“波伝谷”の12年を記録した予告編

東日本大震災の津波で壊滅した宮城県南三陸町の小さな漁村「波伝谷(はでんや)」。その被災までの3年間の日常を追ったドキュメンタリー映画『波伝谷に生きる人びと』の震災後の続編にあたる『願いと揺らぎ』が2月24日よりロードショーとなる。このほど、本作の予告編が公開された。

ポスター

震災に関連したドキュメンタリーが数多くある中で、本作は震災前から12年という時間をかけて地域の人びとの生き様を追う。津波により集落が壊滅しコミュニティが分断された波伝谷では、ある若者の一声から地域で最も大切にされてきた行事である「お獅子さま」復活の機運が高まり、それは先行きの見えない生活の中で、人びとの心を結びつける希望となるはずだった。しかし波伝谷を離れて暮らしている人、家族を津波で失った人、さまざまな立場の人がお獅子さま復活に想いを寄せる一方で、集落の高台移転や漁業の共同化など多くの課題に直面し、足並みは一向に揃わない。震災によって生じたひずみは大きく、何が正解なのかも分からぬまま、摩擦や衝突を重ねお獅子さまは復活する。

予告編では、2005年からお獅子さまを撮り続けてきた監督が、ともに迷い、もがきながら、復興に向けて歩み続けた人びとの“願いと揺らぎ”を鮮烈に映し出す。映画研究者の三浦哲哉は「“絆”とは何かをめぐる震災6年後の決定的な成果」とコメントを寄せている。

現在、本作の公開へ向けてのクラウドファンディングもMOTHION GALLERYにて実施中。

『願いと揺らぎ』
2018年2月24日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督・撮影・編集:我妻和樹
配給:ピーストゥリー・プロダクツ