アメコミ専門家が熱く語る!ロシア発スーパーヒーロー映画『ガーディアンズ』トークイベント レポート

『クライム・スピード』のサリク・アンドレアシアン監督の最新作で、“ロシア版『X-MEN』”、“マーベルへの挑戦状”など、世界各国で話題のロシア発のスーパーヒーロー映画『ガーディアンズ』が、1月20日より全国ロードショーとなる。本作の公開を記念して、1月10日にアメコミファン限定の試写会が行われ、上映後にアメコミライターの杉山すぴ豊、トイショップ豆魚雷の店長・黒須マモルというアメコミに造詣の深い2人によるトークイベントが行われた。

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すぴは開口一番、「僕らが呼ばれているということは、GAGAさんがこの映画をいかにアメコミみたいに見せて売っていきたいかということです(笑)」と語る。すぴは、この映画を知ったきっかけについて、「この映画は2016年の夏ぐらいに海外予告がYouTubeでバズったんですよ。ロシアが『アベンジャーズ』に対抗してる映画を作ったとかで。それで見てみたらなかなかすごいじゃないかと」と強い印象を受けていたことを明かす。さらに、「前に別のトークイベントで『ガーディアンズ』の話題になって、元SKE48の加藤るみちゃんがこの映画を観ていて“アライグマとクマの違いなんですよ”と感想を言っていて、“なかなかいいトコついてるなぁ!”と(笑)」とエピソードを紹介。黒須は「僕はこの映画を観た時に色んなゲームのことを思い浮かべました。熊人間に関しては“これは獣王記みたいだな”とか、忍者龍剣伝とか色々。ゲームの要素が色々つまった『ファンタスティック・フォー』みたいな感じだなと。色んなものを足して足して足して2で割らないみたいな感じで、全然割ってなくてものすごく濃い映画になっている」と感想を述べた。

トークショーの前、2人は感想を語り合っていたと言い、すぴは「冒頭15分で仲間4人全員集まってたよね(笑)」と、黒須も「皆意外に力貸す貸すみたいな感じでね(笑)」と語り、ツッコミつつも本作のテンポのよさを称賛。黒須は、「さすがロシアだけあって、女性がもれなく綺麗で、男性はそれだけでも観に行く価値があると思います」と付け加えた。

話はロシア映画界の背景へと移り、すぴは「僕の勝手なイメージなんですけど、ロシアって西側のカルチャーは余り入ってこないのかと思ってたんですよ。でもロシアでの興行成績を調べると『スター・ウォーズ』とか『アサシン クリード』とか『アベンジャーズ』も1位を取ってたりするんです。結構ハリウッドコンテンツは入ってきてるんだなと。だから、それらを観て育った世代のクリエイターがこういうのを作ってるんだろうなと思ったんです」。さらに、すぴは、「この映画は全露興行収入1位と謳ってるけど、全然オーバーな売り文句ではなくて、調べてみたらロシア国内での全作品興行成績歴代87位なんです。アメリカ国内でいうと歴代87位は『マトリックス リローデッド』で、そう比較するとこの映画のすごさが分かりやすく伝わってくる」とデータを披露する。黒須も「総製作費3億ルーブルっていったいいくらなんだと調べてみたら6億円弱ぐらいで、他のアメコミ映画を調べてみたら2012年の『アベンジャーズ』が249億円、最近でいうと『ジャスティス・リーグ』が341億円…という中で、『ガーデアンズ』はわずか6億ぐらいでここまでのものを作り上げている。アメコミと同じ予算があるとしたら一体どんなことになるんだと、意外とものすごい訳ですよ」と続けた。

すぴは、「アメコミの中でロシア出身のヒーローは意外にたくさんいて、『X-MEN』のコロッサス、アメリカとソビエトが冷戦で敵対したということも関係しているのか悪役が多くて、『アイアンマン』でミッキー・ロークが演じたウィップラッシュとか他にも色々いて。その中でヴィラン(敵)とみなされる役が多いですね」と、ロシアとアメコミとのつながりを紹介。さらに、「このポスターをパッと見た時に、どう見ても『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とウィンター・ソルジャー人気に便乗しようとしているこのデザイン(笑)」とツッコミが入り、黒須も、「このチラシをもらった時に、アメコミファンで“この映画、観ないの?”というのがボーダーラインになるんじゃないかと思うんです。アメコミ好きだったらこの映画はカバーしとかないと!」と語る。すぴも、「飲み会とかで集まった時に、“お前観てないの?”と責められかねない映画になっていきそうですね」と語った。

「監督はアメコミ映画とかアメリカのゲームが好きで、それをいい意味パクって変に加工していないのが素直によかったなと思うんです」と、すぴは映画について好印象を持ったそう。続けて、「ロシアでアメコミ好きな監督がこういう映画を作ってくる訳だから、あと5年ぐらいしたら中国版の『ガーディアンズ』が出てくるかもしれません。その時はきっとパンダですね(笑)。そして京劇の女の子が擬態能力を持って…完全に『ガーディアンズ』をパクっちゃうみたいな(笑)」と語り、黒須も「それは楽しみですね!」と乗る。黒須はさらに、「中国にも独自のスーパーマンみたいなキャラクターはいますし、これから世界各地でその国ならではのアメコミみたいなものも登場するかもしれませんね」と期待を寄せる。

最後に、すぴは「話のネタとして絶対観た方がいいと思います。褒めるべきところも沢山ある映画です。去年の今頃は全社を挙げて『ラ・ラ・ランド』を売ってたGAGAさんが、今年はこれを推すって言ってる訳だからそれぐらいすごい訳です(笑)。この映画を買ってくれたGAGAさんに皆で感謝したいと思います!」、黒須は「一晩ぐらいは語り明かせると思います!」とそれぞれ締めくくった。

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本試写会はアメコミファン限定(自称可)と銘打って行われたが、会場にはマーベルのグッズを身につけている人やクマの被り物を持参する人もいるなどノリのいい観客も多く、ジャパンプレミア感のある和気あいあいとしたイベントとなった。

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『ガーディアンズ』
1月20日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:サリク・アンドレアシアン
出演:アントン・パンプシニ サンザール・マディエフ セバスチャン・シサク アリーナ・ラニナ
配給:ギャガ・プラス  

【ストーリー】 冷戦下のソヴィエト。違法な遺伝子操作により特殊能力を持つ兵士を生み出す“パトリオット計画”が進行し、超人部隊が生み出されようとしていた。だが、名声を我がものとしようとする組織の科学者クラトフの裏切りにより、研究所は爆破され、超人たちも姿を消してしまう。50年後、自らも強大な力を持つ超人となったクラトフがロシアを崩壊させようとした時、パトリオットは世を捨てて生きるかつての超人たちを見つけ出し、国家の危機を防ごうとする。集められたのは獣化能力を持つ科学者アルスス、念動力を操る賢者レア、超音速の剣の達人ハン、擬態化する美女クセニア。4人の超人は、失ったアイデンティティを取り戻すため、クラトフを倒すことを決意する。チームの名は“ガーディアンズ”。彼らこそ、最後の希望だった。

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