祖国とは何か…リトアニア発!激動の時代を生きる母と子の物語『MOTHERLAND』公開決定

『MOTHERLAND』は、ソビエト連邦崩壊後のリトアニアを舞台に、母と息子の再会の旅を通して“祖国”やアイデンティティの意味を問いかけるヒューマンドラマ。歴史の大きなうねりの中で揺れ動く個人の記憶と感情を、静謐な映像と繊細なまなざしで描き出す一作だ。

物語は1992年、独立間もないリトアニア。アメリカで生まれ育った少年コヴァスは、母ヴィクトリアとともに彼女の故郷を訪れる。幼い頃、ソ連占領下で家族と引き離され、家と土地を失ったヴィクトリアにとって、この帰郷は過去を取り戻すための重要な一歩だった。

20年ぶりに足を踏み入れた祖国で、彼女は失われた実家の土地を取り戻し、息子とともに新たな生活を始めようとする。しかし、かつての家にはすでにロシア人一家が暮らしており、現実は理想とは大きくかけ離れていた。思い描いていた再出発は次第に歪み、母と息子の関係にも静かな変化が訪れる。

少年コヴァスの視点から描かれるのは、見知らぬ土地での戸惑いと発見、そして大人へと近づいていく過程だ。友情や初恋、裏切りといった初めての経験を通じて、彼は自分自身の輪郭を形作っていく。一方でヴィクトリアは、理想化された過去にすがりながらも、変わりゆく現実と向き合わざるを得ない。

ふたりは同じ時間と場所を共有しながらも、その距離は少しずつ広がっていく。やがて浮かび上がるのは、「自分はどこに属するのか」という普遍的な問い。国家や歴史の変化に翻弄される人々の姿を背景に、本作は家族、記憶、そしてアイデンティティの揺らぎを丁寧に映し出していく。

本作は、リトアニア移民の子として育ったトーマス・ヴェングリスによる初長編作品。自身の体験をもとに紡がれた物語には、確かな実感とリアリティが宿る。

母ヴィクトリアを演じるのはセヴェリヤ・ヤヌシャウスカイテ。過去と現在の狭間で揺れる女性の内面を繊細に体現する。息子コヴァス役にはマータス・メトレフスキが起用され、少年ならではの不安や好奇心を瑞々しく演じている。

■作品情報
タイトル:MOTHERLAND(原題:GIMTINE)
公開日:2026年7月4日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本:トーマス・ヴェングリス
出演:マータス・メトレフスキ、セヴェリヤ・ヤヌシャウスカイテ、ダーリウス・グマウスカス、バルボラ・バレイキテ
製作年:2019年
製作国:リトアニア、ラトビア、ドイツ、ギリシャ
上映時間:96分
仕様:シネマスコープ/5.1ch
日本語字幕:川喜多綾子
配給・宣伝:太秦

© 2019 Studio Uljana Kim / Locomotive Productions