第78回カンヌ国際映画祭〈批評家週間〉グランプリを受賞し、第98回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト入りも果たしたタイ映画『ユースフル・ゴースト』(英題:A Useful Ghost)が、2026年7月10日(金)より全国公開されることが決定した。

本作は、新鋭ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク監督の長編デビュー作にして、ジャンルの枠に収まらない独創性で世界中の批評家から高い評価を獲得した注目作だ。
物語の中心にあるのは、“亡き妻が掃除機の姿で帰ってくる”というユニークな設定。舞台は粉じん公害が深刻化するタイ・バンコク。最愛の妻ナットを病で失ったマーチは、喪失の悲しみの中で日々を過ごしていた。そんなある日、ナットの魂が掃除機に宿るかたちで現世に戻り、二人は再び心を通わせていく。
しかしその裏で、マーチの家族が営む工場では、亡くなった労働者たちの霊が機械に取り憑き、操業停止へと追い込まれる事態が発生。社会から疎まれる存在となったナットは、自らが“役に立つ幽霊”であることを証明するため、工場の除霊に関わろうとする。個人の愛の物語はやがて社会の歪みへと接続し、人間と幽霊、そして“役に立つか否か”という価値基準を問い直していく。
コメディ、ロマンス、ホラー、SFといった複数ジャンルを横断しながら、記憶と忘却、環境問題、労働、政治的抑圧といった現代的テーマを内包する本作は、ユーモラスでありながら鋭い社会性を持つ唯一無二の作品となっている。
主演は、タイのみならず国際的に活躍するダビカ・ホーン。亡き妻ナットという存在を、掃除機という異形の媒体を通して繊細に表現し、観る者に強烈な印象を残す。共演にはウィサルット・ヒンマラット、アパシリ・ニティポンら実力派が名を連ね、幻想と現実が交錯する世界に確かなリアリティをもたらしている。
奇抜なアイデアから始まりながらも、物語はやがて深い感動へと収束する。愛とは何か、存在とは何か——その問いを静かに、しかし力強く投げかける一作だ。
▼特報



■作品情報
『ユースフル・ゴースト』
2026年7月10日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク
出演:ダビカ・ホーン、ウィサルット・ヒンマラット、アパシリ・ニティポン ほか
2025年/タイ・フランス・シンガポール・ドイツ/130分
言語:タイ語、英語、イサーン語
英題:A Useful Ghost
字幕翻訳:橋本裕充
配給・宣伝:SUNDAE(Powered by Filmarks)
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