これはDV被害者の魂の叫び。離婚後共同親権の現実を描く社会派映画『五月の雨』公開決定

冨田玲央監督の長編映画デビュー作『五月の雨』は、2026年4月に導入される「離婚後共同親権制度」をめぐる問題を、ドラマとドキュメンタリーを交錯させながら描き出す社会派作品だ。DVや虐待被害者の視点に真正面から向き合い、その制度がもたらし得る現実と危険性を観る者に突きつける。

主人公は、一人息子を育てる主婦・長谷川香織。夫・直樹からの精神的DVに長年苦しみ、些細な家事や服装にまで及ぶ執拗な支配によって心身を追い詰められていく。耐えきれず家を飛び出した香織は弁護士に助けを求め、長い調停の末にようやく離婚を成立させるが、その過程で「共同親権」を受け入れてしまう。離婚後もなお、子どもの面会や進学といった場面で「共同親権」を盾にした元夫の支配は続き、香織は再び行き場のない苦しみに直面していく。

本作では、離婚後共同親権が導入された“未来”をドラマで再現すると同時に、現実社会で起きているDV被害当事者の声、弁護士や有識者への取材、実際の事件をドキュメンタリーとして織り込み、制度の問題点を多角的に掘り下げていく。家庭内で起こる「見えない暴力」、離婚後も断ち切れない支配の構造、そして子どもの最善の利益とは何か――静かだが重い問いが積み重ねられていく。

長谷川香織を演じるのは、NHK連続テレビドラマ『虎に翼』でDV被害を訴える女性を演じた安川まり。本作でも再びDV被害者役に挑み、恐怖と葛藤、そして必死に生き抜こうとする姿をリアルに体現している。監督はテレビドキュメンタリーを数多く手がけてきた冨田玲央。現実への鋭い視線と丁寧な取材に裏打ちされた演出が、ドラマパートにも強い説得力を与えている。

解禁されたポスタービジュアルでは、夫からの電話に怯えながらスマートフォンを握りしめる香織の後ろ姿が大きく切り取られ、「これはDV被害者の魂の叫び」というコピーが添えられている。その言葉どおり、『五月の雨』は声を上げづらい立場に置かれた人々の切実な思いをすくい上げ、社会に問いを投げかける一作となっている。

▼予告編

■作品情報
タイトル:五月の雨
公開日:2026年4月11日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督:冨田玲央
脚本:藤平久子
出演:安川まり、巴山祐樹、楠田悠人、酒井禅功
ナレーション:中澤有美子
製作年/製作国:2025年/日本
上映時間:74分
配給:ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会

©ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会