第23回全州国際映画祭でCGVアートハウス賞、Watcha’s Pick:長編映画賞の2冠に輝き、各国の女性映画祭を中心に高い評価を集めてきた韓国映画『ギョンアの娘』が、ついに日本公開を迎える。

本作は、家庭内暴力の経験を抱える母・ギョンアと、デジタルタトゥーの被害に苦しむ娘・ヨンスという、世代を超えて連なる「痛み」を真正面から描いたヒューマンドラマだ。物語は、夫を亡くし介護の仕事をしながら一人暮らしを続けるギョンアと、教師として忙しい日々を送る娘ヨンスの距離感から始まる。ある日、ヨンスが突然母のもとを訪れ、穏やかな週末を過ごす中で、ギョンアの携帯に届く一本のメッセージ。それは、娘のプライベート動画だった。そこから、母娘の関係性、そしてそれぞれが向き合わざるを得ない現実が、静かに、しかし容赦なく浮かび上がっていく。
主演を務めるのは、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『賢い医師生活』で知られるハ・ユンギョン。映画初主演となる本作で、被害者でありながらも日常を必死に生きる女性ヨンスを、抑制の効いた繊細な演技で体現した。その存在感は高く評価され、韓国国内の映画賞でも数々のノミネート・受賞を果たしている。母ギョンア役にはキム・ジョンヨンが名を連ね、娘を思うがゆえにすれ違ってしまう複雑な感情を、重みのある演技で表現する。
監督を務めたのは、本作が長編デビューとなるキム・ジョンウン。これまで短編作品で社会的弱者に寄り添う視点が評価されてきた彼女は、本作においても、個人の痛みを決して消費することなく、社会構造の中に丁寧に位置づけていく。感情を過度に煽らない演出、沈黙や視線、わずかな表情の揺らぎを積み重ねることで、観る者自身に問いを投げかける語り口が印象的だ。
日本版ビジュアルに添えられた「踏み出せる。あなたも、わたしも。」というコピーが象徴するように、『ギョンアの娘』は絶望の物語ではない。傷は深く、正義は遠い。それでも、自分自身を取り戻すために歩み出そうとする母娘の姿を通して、再生の可能性を静かに見つめ続ける一作となっている。いまを生きる私たちにとって決して他人事ではない、深い余韻を残す作品だ。
▼30秒予告編
https://youtu.be/5i7eg0MHEt0

■作品情報
作品名:ギョンアの娘
原題:경아의 딸
英題:Gyeong-ah’s Daughter
公開日:2026年3月7日(土)
公開:東京・ユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国順次
監督:キム・ジョンウン
出演:キム・ジョンヨン、ハ・ユンギョン ほか
製作年:2022年
製作国:韓国
上映時間:119分
配給:JIGGY FILMS
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