売れない芸人が、ある朝目を覚ますと、目の前に現れたのは「芸人として爆発的に売れた理想の自分」だった――。そんな強烈な“もしも”の設定から始まる映画『お笑えない芸人』は、夢を追い続ける若者の葛藤と自己肯定を、リアルかつエンターテインメント性豊かに描き出す青春ドラマだ。

主人公の佐原一太郎は、相方・瀬戸口と「激甘酢豚」というお笑いコンビを組み、芸人として活動してきた。しかし、ある出来事をきっかけにコンビは解散。夢半ばで立ち止まった佐原の前に、突如として“成功した理想の自分”が現れる。その分身は、売れるためのノウハウを語り、佐原の人生に積極的に介入していくが、やがて理想と現実のズレは、佐原自身の心を大きく揺さぶっていくことになる。
監督・脚本を務めたのは、西田祐香。本作は彼女が22歳の時に制作した卒業制作作品でありながら、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025にて審査員特別賞にあたる〈スペシャル・メンション〉を受賞するなど、早くから高い評価を獲得している。若手映像クリエイターの登竜門として知られる映画祭での受賞は、本作の完成度と作家性を強く印象づける結果となった。
主演の吉野真生は、佐原一太郎と“理想の自分”サハラという二役を演じ分け、売れない現実と成功者の余裕、その両極を体現。相方・瀬戸口順二役の村山暁、佐原の隣人・村井涼葉役の北野七海らも、それぞれが抱える不安や迷いを繊細な演技で表現し、物語に確かなリアリティを与えている。
本作は、お笑いの世界を舞台にしながらも、単なる業界ものにとどまらない。「売れる・売れない」という単純な物差しでは測れない人間の価値や、うまくやれなくても前に進もうとする姿を肯定的に描き出し、多くの観客にとって“自分自身の物語”として響く作品に仕上がっている。
『お笑えない芸人』は、2026年6月19日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。その後、全国ロードショーも予定されており、今後の広がりにも注目が集まる。 
▼特報映像

■作品情報
タイトル:お笑えない芸人
公開日:2026年6月19日(金)
公開劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国順次
監督・企画・脚本:西田祐香
出演:吉野真生、村山暁、北野七海 ほか
上映時間:76分
製作年/製作国:2025年/日本
配給:GeneHeart
©『お笑えない芸人』製作委員会

