ダルデンヌ兄弟が描く、若き母たちの選択と希望の物語『そして彼女たちは』3月公開

ベルギーを代表する名匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌの最新作『そして彼女たちは』が、2026年3月27日(金)より全国順次公開されることが決定した。第78回カンヌ国際映画祭にて脚本賞とエキュメニカル審査員賞をダブル受賞し、さらに第98回アカデミー賞Ⓡ国際長編映画賞のベルギー代表にも選出された注目作だ。

本作は、若くして妊娠・出産した少女たちを支援する母子支援施設を舞台に、5人の少女の姿を描くダルデンヌ兄弟初の群像劇。これまで一人の主人公の人生に寄り添う作品を多く手がけてきた彼らが、本作では5人それぞれを主人公に据え、異なる事情や痛みを抱えながら「母になる」現実と向き合う姿を丁寧にすくい取っていく。

貧困、家庭内暴力、孤立――頼れる存在を持たない少女たちは、「ひとりでは育てられない」「赤ちゃんなんて欲しくなかった」と戸惑い、葛藤しながらも、自分自身の選択を迫られていく。愛されることを十分に知らないまま育った彼女たちが、それでも「誰かを愛したい」と願い、時に支え合いながら一歩ずつ前へ進もうとする姿は、観る者の胸を強く打つ。厳しい現実を直視しながらも、彼女たちの未来をあたたかな光で照らし出すまなざしは、ダルデンヌ兄弟ならではの誠実な演出の結晶といえるだろう。

解禁されたポスタービジュアルには〈愛され方は知らない。でも、愛することはきっとできる――〉というコピーとともに、赤ん坊を大切そうに抱きしめる少女の姿が映し出されている。併せて公開された場面写真では、母と向き合い訴えかける表情や、不安と決意をにじませながら赤ん坊を抱く姿など、5人の少女それぞれが背負う現実の重さが印象的に切り取られている。彼女たちが選び取る未来とは何なのか――静かで力強い余韻を残す一作となっている。

■作品情報
タイトル:そして彼女たちは
原題:Jeunes Mères
英題:Young Mothers
公開日:2026年3月27日(金)
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:バベット・ヴェルベーク、エルザ・ウーベン、ジャナイナ・アロワ・フォカン、リュシー・ラリュエル、サミア・イルミ
製作年/製作国:2025年/ベルギー=フランス
上映時間:104分
配給:ビターズ・エンド

ⓒLes Films du Fleuve – Archipel 35 – The Reunion – France 2 Cinéma – Be Tv & Orange – Proximus – RTBF (Télévision belge) / Photo©Christine Plenus