映画『ジョン・クランコ バレエの革命児』は、ドイツの地方都市シュツットガルトに拠点を置く小さなバレエ団を、世界最高峰のカンパニーへと押し上げた天才振付家、ジョン・クランコの半生を描いた伝記ドラマだ。“シュツットガルト・バレエの奇跡”と称される創造の舞台裏と、傑作『オネーギン』誕生の瞬間に迫る。

ロンドンの英国ロイヤル・バレエ団やサドラーズ・ウェルズ・バレエ団で将来を嘱望されていたクランコは、1960年、同性愛行為を理由に起訴され、ロンドンを追われる。失意の中で辿り着いたのが、偏見なく彼を受け入れたシュツットガルト・バレエ団だった。翌1961年に芸術監督へ就任すると、既存の常識に縛られない自由な発想と情熱で、ドラマ性に富んだ革新的な作品を次々と生み出していく。
『ロミオとジュリエット』で注目を集め、プーシキン原作をもとにしたドラマティック・バレエの金字塔『オネーギン』は、観客を熱狂の渦へと巻き込んだ。1969年、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場公演で大成功を収めたシュツットガルト・バレエ団は、一夜にして世界の頂点へ。だが絶頂のさなか、1973年、クランコの人生はあまりにも早く幕を閉じる。
主人公クランコを演じるのは、『マレフィセント』のサム・ライリー。情熱と革新性に満ちる一方、芸術への純粋さゆえに葛藤を抱える複雑な内面を、繊細かつ力強く体現している。監督は、長年にわたりシュツットガルト・バレエ団を取材してきたヨアヒム・A・ラング。撮影は本拠地であるシュトゥットガルト州立歌劇場で行われ、音楽はシュツットガルト州立管弦楽団が担当するなど、全面協力のもとで制作された。
さらに本作には、現役プリンシパルのフリーデマン・フォーゲルをはじめとする花形ダンサーたちも出演。圧倒的なテクニックと表現力が、スクリーンいっぱいに広がる。1960年代を忠実に再現した衣装やインテリアも見どころで、ドイツ映画賞衣裳デザイン賞を受賞するなど、美術面でも高い評価を獲得した。
芸術に人生を捧げ、バレエの可能性を押し広げたひとりの革命児。その輝きと影を、踊りと音楽、そして人間ドラマで描き切る、珠玉のバレエ映画が誕生した。 
■作品情報
作品名:『ジョン・クランコ バレエの革命児』
原題:John Cranko
公開日:2026年3月13日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:ヨアヒム・A・ラング
出演:サム・ライリー、マックス・シンメルフェニッヒ、ハンス・ツィッシュラー、ルーカス・グレゴロヴィチ ほか
出演(シュツットガルト・バレエ団):フリーデマン・フォーゲル ほか
製作年/製作国:2024年/ドイツ
上映時間:138分
配給:アット エンタテインメント
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