病院という社会の縮図に潜む“歪み”を描く緊迫の90分『ナースコール』3月公開決定

第98回アカデミー賞国際長編映画賞のスイス代表作品としてショートリスト入りを果たした映画『ナースコール』が、2026年3月6日(金)より全国公開されることが決定した。第75回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャルガラ部門で上映され、批評家から高い評価を受けた本作は、本国スイスで興行成績4週連続第1位を記録するなど、大きな注目を集めている。

本作が描くのは、慢性的な人手不足と緊張感に満ちた病院という現場。州立病院で働く献身的な看護師フロリアは、同僚の病欠により、普段以上に過酷な遅番シフトを任される。満床状態の病棟、看護学生の指導、不安や孤独を抱える患者たちへの対応――次々と押し寄せる業務と予期せぬトラブルの中で、彼女は懸命に職務を全うしようとするが、やがて一人では抱えきれない状況に追い込まれていく。

監督・脚本を務めたペトラ・フォルペは、病院を「社会の縮図」として捉え、医療現場が抱える構造的な歪みや限界を、観る者が“疑似体験”するかのような臨場感で描写する。主演のレオニー・ベネシュは、切迫した状況下でも揺らぐ内面を繊細かつ力強く体現し、その演技とカメラワークが一体となることで、息詰まるような没入感を生み出している。

あわせて解禁されたティザービジュアルでは、緊張した表情で横向きに立つ看護師フロリアの姿が印象的に切り取られ、「時間との闘いが始まる――」というコピーが示す通り、本編で描かれる極限状態の一端を象徴するビジュアルとなっている。世界共通の切実なテーマを真正面から描いた本作は、スリリングでありながら深い余韻を残す社会派ヒューマン・ドラマとして、日本公開にも大きな期待が寄せられている。

■作品情報
タイトル:ナースコール
原題:HELDIN
英題:Late Shift
監督・脚本:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ、ソニア・リーゼン、アリレザ・バイラム、セルマ・ジャマールアルディーン ほか
製作年:2025年
製作国:スイス/ドイツ
上映時間:92分
言語:ドイツ語、フランス語
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
公開日:2026年3月6日(金)
公開劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国

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