“デュオ安楽死”を選んだ両親と家族の葛藤を描く『両親が決めたこと』予告編&場面写真解禁

映画『両親が決めたこと』の本予告映像と場面写真が解禁された。2024年トロント国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した本作は、ヨーロッパで近年増加する〈デュオ安楽死〉という重いテーマを背景に、人生の最終章を迎えた老夫婦と、その決断を受け止める子どもたちの心の揺れを描く家族ドラマだ。

今回公開された予告編は、末期がんを患う母クラウディアと、彼女と共に〈デュオ安楽死〉を選ぶ決意を固めた父フラビオの告白から物語が動き出す構成。すでにそれぞれ家庭を持ち、親の介護世代に差し掛かった三兄弟が久しぶりに実家へ集い、涙や怒り、葛藤をぶつけ合う姿が切り取られている。立場や年齢が変わっても、親の前では「子ども」であり続ける――そんな家族の普遍的な関係性が、静かながらも力強く描かれている。

あわせて解禁となった場面写真では、過酷な現実の中でも互いを思いやり、ユーモアを忘れない夫婦の関係性が印象的に映し出される。バスで席を譲られた際、父フラビオが母にかける一言からは、長年かけて築かれた信頼と愛情がにじみ出る。予告編内では、〈デュオ安楽死〉を選択するに至った夫婦の動機や背景の一端も明かされ、社会的テーマでありながら、あくまで“家族の物語”として観る者の胸に迫る内容となっている。

脚本を手がけたクララ・ロケは、急速な高齢化や孤独の問題を抱える欧州社会の現状に触れつつ、「パートナーを失って生き続ける精神的苦痛」や「尊厳の喪失への恐れ」が、高齢者たちを〈同時に逝く〉という選択へ向かわせる精神的構造を生んでいると語る。本作は、そうした社会背景を親と子それぞれの視点からリアルに映し出し、現代社会が直面する「孤独」と「家族のかたち」を静かに問いかける一本だ。

▼本予告

■作品情報
タイトル:両親が決めたこと
原題:Polvo serán
英題:THEY WILL BE DUST
公開日:2026年2月6日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
監督:カルロス・マルセット
脚本:カルロス・マルセット、クララ・ロケ、コーラル・クルス
出演:アンヘラ・モリーナ、アルフレード・カストロ、モニカ・アルミラル・バテット、パトリシア・バルガロ、アルバン・プラド
製作年/製作国:2024年/スペイン・イタリア・スイス
上映時間:106分
配給・宣伝:百道浜ピクチャーズ

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