河瀨直美監督の最新作『たしかにあった幻』が、2026年2月6日(金)よりテアトル新宿ほかにて公開される。このたび、本編初公開となる予告編と場面写真10点が一挙解禁された。

本作は、『あん』『光』『朝が来る』で知られる河瀨監督が6年ぶりに手がける劇映画であり、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる意欲作。先進国の中でドナー数が最下位とされる日本の臓器移植の現実と、年間約8万人にのぼる失踪者問題を重ね、“生と死”のあわいにある「愛」と「つながり」を鮮烈に描き出す。
解禁された予告編では、フランスから来日し臓器移植医療センターで働くコーディネーター・コリー(ヴィッキー・クリープス)が、死生観や倫理観の壁に阻まれながらも日本の医療現場で奮闘する姿から幕を開ける。
屋久島で運命的に出会った青年・迅(寛一郎)に支えられていたコリーだが、ある日、迅が突然姿を消してしまう。予告編では、「彼の家族も、迅さんのことを探している」という言葉をきっかけに、コリーが岐阜へ向かい真実に近づいていく姿、息子の心臓を提供する苦渋の決断に向き合う父(永瀬正敏)の「もう戻ってこんとでしょ」、心臓移植を待つ少年の母・由美(岡本玲)がこぼす「喜んでいいんかな…」といった胸を締めつける言葉が続き、“残された者”と“受け継ぐ者”双方の痛切な想いが描出されていく。
「姿は消えても、心にはずっと。」途切れることのない記憶と鼓動が、人と人をどのようにつないでいくのか――。予告編だけで、本作が持つ深い余韻と静かな熱を感じさせる仕上がりとなっている。
あわせて公開された場面写真では、コリーが心臓移植を待つ少年・久志や少女・瞳と穏やかな時間を過ごす姿、屋久島で迅と寄り添うように過ごすひとときなど、人物たちの関係性を繊細に切り取ったシーンが並ぶ。さらに、コリーの働く病院に温かい弁当を届けるめぐみ(尾野真千子)と亮二(北村一輝)、心臓病を抱える息子を抱きしめる母の姿、迅の両親である英三(利重剛)と幸江(中嶋朋子)の表情など、多面的な“家族”の姿が収められ、それぞれの立場から揺れ動く想いが静かに伝わってくる。
本作は、第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門でワールドプレミア上映され、河瀨監督の“マスターピース(傑作)”と評されるなど高い評価を獲得。インド国際映画祭・ICFT-UNESCO ガンジーメダル・コンペティション部門をはじめ、バンコク、リオ、ストックホルム、ロンドン東アジアなど、世界の映画祭で正式招待が続々と決定している。
▼予告編










■作品情報
『たしかにあった幻』
2026年2月6日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開
出演:
ヴィッキー・クリープス、寛一郎、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏
中野翠咲、中村旺士郎、土屋陽翔、吉年羽響、山村憲之介、亀田佳明、光祈、林泰文、中川龍太郎
岡本玲、松尾翠、早織、小島聖、平原テツ、利重剛、中嶋朋子
監督・脚本・編集: 河瀨直美
製作: CINÉFRANCE STUDIOS/組画
音楽: 中野公揮
撮影: 鈴木雅也、百々新
照明: 太田康裕
録音: Roman Dymny、森英司
美術: 塩川節子、小林楽子、橋本泰至
配給: ハピネットファントム・スタジオ
© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

