日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦が自ら監督を務める最新作『星と月は天の穴』が、12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開される。主演は綾野剛。そしてヒロインには、オーディションで選ばれた新星・咲耶(さくや)が抜擢された。
『ヴァイブレータ』(03)、『共喰い』(13)などでキネマ旬報脚本賞を5度受賞し、日本映画界の第一人者として知られる荒井晴彦監督。本作では、吉行淳之介の芸術選奨文部大臣賞受賞作を映画化。離婚を経験し、愛することを恐れる40代の小説家・矢添克二(綾野剛)が、若い女性との出会いによって再び心を揺らす姿を、エロティシズムとペーソスを交えて描く。
ヒロイン・紀子を演じるのは、俳優・吹越満と広田レオナの一人娘である咲耶。1969年という激動の時代を背景に、矢添の世界に無邪気に踏み込み、やがて彼を凌駕していく女性を体現する。オーディションでこの役を勝ち取った咲耶に、荒井監督は思わず「あなたは今までどこにいたの?どうして現れなかったの?」と声をかけたという。助監督の竹田正明も「荒井さんは“適役”が現れた瞬間に直感で決める」と語り、咲耶の登場はまさに運命的だった。
2000年生まれの咲耶は、高校時代に書いた作文が教師たちの間で話題となり「文豪」と呼ばれたほどの文学少女。俳優としては17歳で母・広田が監督した『お江戸のキャンディー2』でスクリーンデビューしているが、本格的に俳優を志したのはここ3年ほど。彼女は「純文学の登場人物になりたい」「オールヌードの作品に出たい」という願望を持ち、昭和映画の女優たちを研究。とくに『卍』(1964年/増村保造監督)の若尾文子を参考にしたという。撮影を終えた咲耶は、「初号試写で自分のヌードを見ても恥ずかしさはなかった。川上皓市さんの映像がとても美しく、荒井さんの脚本が文学的で、全てが芸術として昇華されていた」と語り、作品への深い信頼をのぞかせた。
綾野剛演じる矢添と複雑な関係を築く娼婦・千枝子を田中麗奈が演じ、成熟した女性の色香と駆け引きで新境地を見せる。そのほか、柄本佑、岬あかり、MINAMO、宮下順子ら豪華俳優陣が脇を固め、荒井映画ならではの濃密な人間ドラマを紡ぐ。
■作品情報
タイトル:『星と月は天の穴』
公開日:2025年12月19日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
出演:綾野剛、咲耶、岬あかり、吉岡睦雄、MINAMO、原一男、柄本佑、宮下順子、田中麗奈
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
上映時間:122分
レイティング:R18+
ストーリー:
小説家の矢添(綾野剛)は、離婚して以来10年、独身のまま40代を迎えていた。心の空白を埋めるように娼婦・千枝子(田中麗奈)と関係を持ちながらも、恋愛には踏み込めずにいた。そんな矢添が、画廊で偶然出会った大学生・瀬川紀子(咲耶)と奇妙な関係を結ぶことにより、彼の心と日常が大きく揺れ始める――。
©2025「星と月は天の穴」製作委員会