第78回カンヌ国際映画祭「監督週間」部門に、日本人史上最年少の26歳で正式出品された団塚唯我監督の長編デビュー作『見はらし世代』が、10月10日より全国公開。翌11日には、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下で公開記念舞台挨拶が行われ、主演の黒崎煌代、共演の遠藤憲一、井川遥、木竜麻生、そして団塚監督が登壇した。
映画祭を巡る快進撃を経て迎えた日本公開。登壇したキャストたちは、それぞれに感慨深い表情を見せた。遠藤は、初めて団塚監督と会った時の印象をこう振り返る。「最初は低予算の手作り映画って聞いてたし、監督がすごく若い子だったから『嘘だろ?』って思った(笑)。でも、気づいたらカンヌに選ばれて、十何カ国の映画祭に呼ばれていて。本当に不思議な作品だなと感じています」
若き監督に驚かされながらも、完成した作品の力に改めて胸を打たれた様子の遠藤。さらに「俺は64歳になるのかな」と笑いを誘いながらも、「70になっても元気で、こういう新しいエネルギーを持った人たちとまた仕事ができたら嬉しいですね」と力強く語り、会場から大きな拍手が送られた。
主演の黒崎は、初日の翌日に迎えたこの舞台挨拶に胸を高鳴らせながら登壇。「去年の夏と今年の1月に撮影したんですが、本当にあっという間で……。カンヌなどいろんな映画祭を経て、ようやく日本で公開できてうれしい気持ちでいっぱいです」と満面の笑み。終盤では監督に向けて感謝を述べ、「本当に奇跡に満ちた時間でした。団塚さんはこれから日本映画を引っ張っていく監督になると思います。そのデビュー作に携われたことが嬉しいです!」と熱い言葉を贈った。
井川は久しぶりの映画出演を経て、「まさに“見たこともない景色”を迎えようとしている」と語り、「50歳を目前にして、また映画に参加できたことが本当に嬉しい。次につながるような大切な出会いでした」と感慨深くコメント。木竜も「ここから見える景色がとても素敵。もう一度このチームで作品を作りたい」と涙ぐむ場面もあった。
最後にマイクを握った団塚監督は、「この映画は家族と街について考えながら作った作品です。劇場のすぐ外にはロケ地がたくさんあります。ぜひ映画を観た後に、渋谷の街を歩いてみてください」と観客に語りかけた。若き才能とベテランたちが織りなす新しい日本映画の“景色”は、これからさらに広がっていく。
■作品情報
『見はらし世代』(英題:BRAND NEW LANDSCAPE)
監督:団塚唯我
出演:黒崎煌代、遠藤憲一、井川遥、木竜麻生、菊池亜希子、中村蒼 ほか
制作プロダクション・配給:シグロ
配給協力:インターフィルム、レプロエンタテインメント
2025年/カラー/115分
絶賛公開中
©2025 シグロ/レプロエンタテインメント