高校球児たちの夢と挫折、そして故郷への郷愁を描いた映画『郷(ごう)』が、2026年1月9日(金)より全国公開されることが決定した。鹿児島を舞台にした本作は、セリフを極限まで削ぎ落とし、映像と音楽によって観客の潜在意識に訴えかける“体感型”の作品だ。
物語の中心にいるのは、プロ野球選手を夢見る高校球児・岳。軍隊のような厳しい練習に耐える彼の姿は眩しくもあり、同時に理不尽さに直面する苦悩も描かれる。担任教師・霧島の言葉に救われ、幼なじみ・隆との再会によって過去の記憶がよみがえる。
夏の田園を駆け回った少年時代。青い空、大きな入道雲、噴煙を上げる桜島。自然の中で夢中に走り続けたあの頃の記憶が、現在の自分と重なり合っていく。やがて岳は「自分はあの頃、何を感じて生きていたのか」と、自らに問いかけることになる。
本作は、社会的幸福度と自然的幸福度を対比しながら、忘れかけていた感情や潜在意識を呼び起こす“知的冒険心の探究”でもある。映像は全編マジックアワーにこだわり、日本初となるARRI提供による映像美はテレンス・マリック作品を彷彿とさせる。観客は「他人の物語」に共感するだけでなく、自らの物語をスクリーンに投影していくことになるだろう。
メガホンを取ったのは北京電影学院で映像言語を学んだ新鋭・伊地知拓郎監督。「幸福の追求」をテーマに、自身の苦しかった経験や海外生活から抱いた危機感を作品に込めた。また、プロデューサーの小川夏果は、PTSDを抱えた過去の経験から「命の尊さを伝える」使命を胸に制作に挑んだと語る。
『郷』は上海国際映画祭、ぴあフィルムフェスティバルなど数々の国際映画祭で高い評価を獲得。さらに文部科学省選定作品として、中学・高校の教育現場でも「心の健康」や「生き方」を考える教材として活用されている。
■作品情報
タイトル:『郷(ごう)』
公開日:2026年1月9日(金)全国公開
(先行上映:2026年1月2日@鹿児島ミッテ10)
監督・脚本:伊地知拓郎
プロデューサー・キャスティング:小川夏果
キャスト:泉澤祐希(語り)、小川夏果、古矢航之介、阿部隼也、千歳ふみ
上映時間:93分
製作:LETHEANY
配給:マイウェイムービーズ、ポルトレ
配給協力:MMCエンターテイメント、キネマ旬報
上映劇場:新宿ピカデリー、キネマ旬報シアター、名古屋ミッドランドスクエアシネマ、大阪なんばパークスシネマ、鹿児島ミッテ10(先行)ほか
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