9月12日(金)全国公開の映画『ベートーヴェン捏造』の製作報告会見が8月6日(水)に都内で開催され、主演の山田裕貴、共演の古田新太、脚本を務めたバカリズム、そして関和亮監督が登壇。本作の製作秘話から撮影エピソード、キャスティングの裏側まで、笑いあり熱弁ありの会見となった。
会見では、清塚信也が演奏するピアノ・ソナタ第23番「熱情」第3楽章をメインテーマに使用した本予告が初上映。物語は、現代日本の中学生・黒田が、音楽教師の語りをきっかけに思い描いた“脳内ウィーン”が舞台。ベートーヴェンを理想の姿に仕立て上げた秘書・シンドラーの「歪んだ愛」が、やがて音楽史上最大のスキャンダルへと発展していく――という、バカリズムらしいユニークな構成で描かれる。
ベートーヴェンの秘書・シンドラーと現代の音楽教師・黒田の二役を演じた山田裕貴は、「台本を読んだ時に、僕らの抱いているベートーヴェン像が実は誰かの捏造かもしれないと感じた」とコメント。役作りではベートーヴェンの楽曲を日常的に聴き込み、実在する会話帳を参考に想像力を膨らませたという。
ベートーヴェン役の古田新太は、「ドイツ人の役は初めて。そもそもそんな時代の人、誰も知らないでしょ」と冗談交じりに会場を沸かせた一方で、「ベートーヴェンは奇才で変人という印象なので、役作りはしやすかった」と語った。山田との共演も2回目となり、「“や~まだ”は真面目で信頼できる。今回の役との関係性もぴったりだった」と賛辞を送った。
シンドラーとベートーヴェンのキャラクターについてバカリズムは、「二人とも完全に何かが欠けている」と切り出し、「ベートーヴェンは音楽の才能がなければ最低の人間。シンドラーは好青年だけど、だんだん異常性がにじみ出てくる。でも、それが“良いキモさ”」と山田の演技を大絶賛。「山田さんの真っすぐな目に“本当にオカシイ人”のリアリティがあった。完全に憑依していた。だからキモイ。凄い役者さんです」と評し、笑いと驚嘆を誘った。
「中学生の想像するウィーン」という世界観は、バカリズムによるオリジナル設定。「そもそも日本人がドイツ人を演じる時点で間違っている。だったら最初から観客の想像と現実のギャップを解消するしかないと思った」と説明。この構成に、山田も「これなら日本人キャストでも説得力があると思った」、古田も「“バカリちゃん、上手いな!”と感心した」と脚本を称えた。
清塚信也が演奏する「熱情」は、本作のテーマである“信じる理想とねじ曲がった現実”を象徴するような情熱的な旋律。監督の関は「人生の起伏を表す曲として、これ以上はない」と語り、バカリズムも「あの人も良い意味でイカれている」と起用に太鼓判を押した。
最後に山田は、「この映画は事実とは言っていません。ただ、史実に基づいたフィクションであるからこそ、“誰かの語る真実”の危うさを考えてもらいたい。ベートーヴェンだけでなく、すべての人物について、何を信じて語るべきかを問い直す作品です」と締めくくった。
■映画情報
タイトル:『ベートーヴェン捏造』
原作:かげはら史帆『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(河出文庫刊)
脚本:バカリズム
監督:関和亮
出演:山田裕貴、古田新太、染谷将太、神尾楓珠、前田旺志郎、小澤征悦、生瀬勝久、小手伸也、野間口徹、遠藤憲一 ほか
公開日:2025年9月12日(金) 全国公開
配給:松竹
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