2023年10⽉7⽇、ハマスによる越境攻撃をきっかけに始まったイスラエルによる未曽有のガザ攻撃からまもなく 1年。イスラエル、パレスチナの両国を⻑年取材し続けてきた⼟井敏邦監督が、30年にわたる激動のガザの記録をまとめたドキュメンタリー映画『ガザからの報告』が、10⽉26⽇より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルが披露された。
監督は『沈黙を破る』、『愛国の告⽩』で⾃国の加害と向き合う元イスラエル兵⼠たちの証⾔を記録してきた⼟井敏邦。イスラエル・パレスチナ取材歴30年の⼟井のもとには、昨年の10⽉7⽇以降、ガザの現地ジャーナリストから定期的に報告が届いていた。命がけで伝えられるその“⽣の声”を受け取った者の責務として⼟井がまとめた本作は、「ガザのパレスチナ⼈」と⼀括りにされる彼らの素顔を描き、今のガザの惨状の根源を浮かび上がらせる。本作は、第⼀部『ある家族の25年』と第⼆部『⺠衆とハマス』の2部構成で上映される。
■⼟井敏邦(監督) コメント
私は1985年以来、34年間、パレスチナに通い続けてきた。遠い国の⼈たちに起こっていることを伝えるときにまずやるべきことは、現地の⼈びとが私たちと“同じ⼈間である”と伝えることだと私は考えている。私たちはニュースが伝える数字で現場の実態を「分かった」つもりになる。しかし、あの空爆や砲撃の下には犠牲になった⼀⼈ひとりの死の痛み、悲しみがあるのだ。遠いガザで起こっている事態を、⽇本で暮らす私たちに引き寄せるために、⻑年ガザと関わってきたジャーナリストの私がやるべきことは、そのための“素材”を提供することではないか。ハマスによる越境攻撃から2週間ほど経た10⽉下旬から、現地ジャーナリストMは1〜2週間ごとにインターネットの画⾯を通して、現地の状況を伝えてくれた。⾃⾝も⾃宅が砲撃を受け、弟と義弟が殺されたMは、世界のメディアが伝えない市井の⼈びとの空気を私に伝えてきた。Mが命懸けで伝えてきたその“⽣の声”を受け取った私には、それをきちんと世界に向けて伝える責務がある。この映画はそういう役割を担っている。
■師岡カリーマ(アナウンサー、⽂筆家) コメント
攻撃が続くガザで、砲弾が落ちる先にいるのがどんな⼈々で、どんな苦難を強いられてきたか、その⽣の声を丹念に記録した⼤作。夢も希望も持てず、⼈ではないかのように扱われても抗えず、⾸根っこを掴まれた屈辱的な抑圧と貧困の中で⽣きるとはどういうことか。なぜハマスは⽀持され、いかにして⽀持は怒りに変わったか。⼈々の⽣活や政治意識を淡々と追うカメラの向こうから伝わってくるのは「テロ集団ハマスをのさばらせているんだから同罪だ」とイスラエルに蔑まれるパレスチナ⼈の、悲しいほど「普通」な素顔。何を持ち帰るか、受け⼿の完成も試される作品だ。
『ガザからの報告』
2024年10⽉26⽇(⼟)よりKʼs cinemaほか全国順次公開
監督・製作・撮影・編集:⼟井敏邦
配給:リガード
©DOI Toshikuni 2024