台湾の人気俳優、シュー・グァンハンと日本の実力派女優、清原果耶のダブル主演で、『余命10年』の藤井道人監督が初の国際プロジェクトとして挑んだ日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』が、5月3日より公開される。それに先立ち、4月25日にTOHOシネマズ なんばにて先行上映会が行われ、清原果耶と藤井道人監督が登場した。
上映終了後、清原と藤井監督が、鑑賞後の余韻に浸って感動冷めやらぬ観客の前に登場。涙を拭っている観客に向けて清原は「いかがでしたか?」と問いかけ、盛大な拍手で観客が応えた。続けて清原は「出身が大阪なので、今日大阪のみなさんに作品をお届けできたことが個人的にすごく嬉しい」、監督は「清原さんとは15歳から一緒に映画を作らせてもらって今回、一番と言っても良いくらいの清原さんが撮れたと思っていて、そんな清原さんと一緒に大阪に来られて光栄です」と挨拶をした。
清原の出身地でもある大阪なんばでの舞台挨拶について清原は「“なんば”という響きを聞くだけで大阪に帰って来たんだなぁ。控室にもたこ焼きを用意してもらっていて、帰って来たなぁと思いながら、美味しくいただきました。大阪は落ち着く半分、緊張半分、ちゃんとしなければという気持ちがあり、でもやっぱり嬉しい!」と語った。
続いて監督も大阪について「僕は、去年映画のキャンペーンで道頓堀の船に乗りました」と思い返した。本編の共演者、特に清原と同じ関西出身の道枝駿佑の印象を聞かれ、監督は「テレビで見ていた印象と変わらない、純度100の青年。幸次の役よりは3度くらい熱は低く…もう少し大人しいんですが、(幸次の役は)グッと上げて頑張ってくれました」とコメント。過去にドラマでも共演していた清原は「撮影では全く会わなくて、宣伝活動で久しぶりに会ったら身長が伸びていて、月日が経ったんだなぁ」と語った。
最初に本編を鑑賞した際に涙が止まらなかったという清原は、その時の気持ちを「見る前はどういう感じで完成したのかワクワクだったけど、私が出てないシーンをちゃんと見たら、そこでアミのまわりのひとたちの想いに初めて直面し、アミとして悲しかったし切なかったし、すごく大事にしてもらっていたんだなぁと泣いてしまいました」と振り返った。清原が演じるアミが知ることのない、アミを想いながらのジミーの旅について聞かれ「言葉にできない感情ばかりだったかなと思うけど、アミとジミーが出会って過ごしてきた日々がまぎれもなく彼らの青春であり初恋だったんだなぁ。ということを私は知れたことが嬉しかったです」とアミの気持ちを代弁した。
清原と監督は今作で3回目のタッグとなり、清原が演じたアミにてついて監督は「彼女が少女から大人になっていく過程を見させてもらっていて親戚のおじさんみたいな気持ちでいた。今回アミを演じて僕が想像したことを超えてきてくれる、そこには映画人としての信頼が常にあって、60年後までご一緒する仲かも!?という思いで向き合わせてもらっています」と強い思いを伝え、会場からはその未来への期待に拍手が起こった。それに対して清原は「何から何まで気になることが合ったら監督にすぐ確認する」と信頼関係の強さを伝えた。監督は「清原さんとは戦友とは言え、今回はかなり過酷な状況での撮影で、それでもあれだけ素晴らしいアミを演じてくれて本当に感謝しています!」と改めて清原を賞賛した。清原も「監督と一緒に丁寧にこの作品に取り組めて毎回感謝しています」と気持ちを伝えた。
本作は、日本と台湾で撮影され、アジア圏で今最も注目を集める台湾のスター俳優シュー・グァンハンとの共演について清原は「素敵な方で周りの人を巻き込んですべてやわらかい空間にしていく力があり、グァンハンさんが演じるジミーにアミも助けられた」と魅力を伝えた。コミュニケーションについては「通訳を交えて会話したり、お互い日本語と中国語の単語を教え合ったり…」とまさにアミとジミーのようだったことを伝えた。
清原は「特に台南の街並みが好きでアミと同じ気持ちで旅することができ、アミに感情移入が出来た」と台湾の撮影を振り返った。監督は台湾での撮影の言葉の壁について「日常的に言葉に頼り過ぎている。言葉が通じ合わないから何が本当にやりたいことなのか、みんなが目を見て、我々にとって青春、初心に戻れた」と振り返った。台湾でのオフの過ごし方について清原は「散歩したり、ご飯を食べたりスタッフさんと夜市に行ったり」と楽しい時間を過ごしていたが、監督は「僕は別の作品で参加ができず、みんなで楽しんでいる写真が送られてきた」と残念がった。清原は「台南のお肉をさばいてスープとして出してくれる牛肉のスープが美味しかった!」と台湾のご飯も絶賛した。
本作を経て、監督は映画を作ることにおいて「映画は正解がない、心に残る人もいて、明日には忘れる人もいてそれも全部正解だと思う。自分の人生にこの1本として映画を作り続けたい」と語り、清原は「言葉、気持ち感情をより大事にすることを思って、大人になっていくうえで我慢したり、忘れなければいけなかったり、どうしてもぶつかることもある中で、それでも自分の軸として大事に持っておかないといけないものを持ち続ける勇気は大事にしたい、アミを演じたからそう思える、役や作品との一期一会に感謝したい」とそれぞれ考え方が変わった経験を伝えた。
最後に、満席の観客に向けて藤井監督は「青春という言葉が一生続けばいいなぁとこの映画を作って感じました。この映画が皆さんの日常を豊かにする一つになれば嬉しいです」とメッセージを送り、清原は「失いたくないものを見つけて宝物に出来るような映画になりました。台湾、日本のスタッフキャストのみなさんと一丸となって魂をかけて作った作品です。たくさんの方々に届けばいいな、今日来てくれた皆さんにだけでも温めてもらえたら…」と声を詰まらせ、最後は涙で声が途切れた。「大切な作品になったのでみなさんにとっても大切なものになるように思っています」と、ひとことひとこと噛みしめるように言葉を残し、舞台挨拶は終了した。
『青春18×2 君へと続く道』
2024年5月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督・脚本:藤井道人
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」
出演:シュー・グァンハン 清原果耶 ジョセフ・チャン 道枝駿佑 黒木華 松重豊 黒木瞳
配給:ハピネットファントム・スタジオ
【ストーリー】 始まりは18年前の台湾。高校生・ジミーのバイト先に現れた日本から来た4つ年上のバックパッカー・アミ。ひと夏を同じ店で働き過ごすことになった2人だったが、次第にジミーはアミに淡い恋心を抱いていく。夜道をバイクで2人乗りしたり、映画を観に行ったり、2人の距離は縮まっていったが、突然、アミが日本へ帰ることに。気持ちの整理がつかないジミーに、アミは“ひとつの約束”を提案する。時が経ち現在。あるきっかけで久々に実家を訪れたジミーは、日本に戻ったアミから18年前に届いたハガキを見つける。初恋の記憶がよみがえったジミーは、過去と向き合い、今を見つめるため、日本へ初めてのひとり旅へ。アミとの思い出の曲を聞きながら列車に乗り、ジミーが向かうのは彼女の故郷。ジミーはアミとの再会を果たせるのか…。
©2024「青春18×2」Film Partners