『この世界の片隅に』、「小津映画」、まるで日本映画? この“わびさび”は日本人にこそわかる!と共感の声続々!『マンチェスター・バイ・ザ・シー』満席続出の大ヒット&拡大上映決定!

本年度アカデミー賞主演男優賞・脚本賞を受賞した、マット・デイモンプロデュース、ケイシー・アフレック主演、ケネス・ロナーガン監督・脚本『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が、5月13日の公開初日より全国で満席続出の大ヒットとなり、公開3週目を迎えてもその勢いはとどまるところを知らない。さらに都内では、6月3日からヒューマントラストシネマ渋谷、TOHOシネマズ錦糸町、6月10日から池袋シネマ・ロサにて拡大上映が決定している。

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公開直後からSNSでは「今年のベスト!」「圧倒された。涙が止まらない」などの熱のこもった感想が次々と投稿されていたが、注目すべきは「まるで日本映画を見ているかのよう」「昨年感動した日本映画を思い出した」「なんて日本的な侘び寂び(わびさび)なんだ……」といった、日本および日本映画を引き合いにだしたコメントが非常に多い。口コミで人気が拡がって興行収入15億円を超える大ヒットとなり、『となりのトトロ』(’88)以来2度目となるアニメ作品にしてキネマ旬報ベスト・テン第一位に輝いた『この世界の片隅に』(’16)や、鎌倉を舞台に4姉妹の日常を綴った『海街 diary』(’15)といった近年の日本映画の話題作の名前を挙げたり、さらには現在好評オンエア中のドラマ「やすらぎの郷」が大きな話題を呼んでいる脚本家の倉本聰さん作品や、「岸辺のアルバム」など家族ドラマの名作を数多く手がけた脚本家・山田太一さん作品に通じる情緒を感じた、といった感想が多く挙がっており、いかにこの『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が、自国の映画・ドラマのように身近なものとして日本の観客の共感を集めているかが分かる。また、ケイシー・アフレック演じる叔父のリーと、ルーカス・ヘッジズ演じる甥のパトリックのやりとりに、山田洋次監督『男はつらいよ』シリーズの寅次郎(渥美清)と満男(吉岡秀隆)の姿を重ねる人も!

第89回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされ、見事主演男優賞と脚本賞の2冠に輝いた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。批評サイト「Rotten Tomatoes」では 5月25日現在96%という驚異の満足度を記録し、メディアでも「見事!」(ニューヨークポスト)、「オスカーにふさわしい」(ヴァラエティ)と絶賛評が並んだ。なかでも、「今年、この映画ほど感動した映画はない。ユーモア、思いやり、人間らしさがつまっている」と本作を讃えた米ローリング・ストーン誌は、脚本・監督を手がけたケネス・ロナーガンについて、「(ケネス・ロナーガンは)小津安二郎に最も近いアメリカ人だ」という賛辞もおくっている。小津安二郎は言わずとしれた日本映画界の名匠ですが、その独特の美意識と繊細な世界観は「日本人ならではの侘び寂び」と評されることも。アメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんもラジオ番組で「小津安二郎のようなアメリカ映画」と評するなど、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の世界観を最も共有できる感性をもっているのは、実は日本人なのかも?

『この世界の片隅に』『海街 diary』『海炭市叙景』『永い言い訳』・・・・・・ SNSでは日本映画のタイトルが頻出!

公開後、SNS上では『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の感想を述べる際に日本映画のタイトルを並べる人が続出!以下いくつかのツイートを抜粋させていただきます。

「日常描写の細かさとか、人間ドラマの丁寧さとか、主人公の再生の物語だったりとか、重い内容だけど所々のユーモアがそれを緩和してくれたりとか、淡々としてるけど、深く沁み入ったりとか、どことなく『この世界の片隅に』に共通するものがあった気がした」

@Azure_Crow

「小説を読んだような味わいでエンドロールが短く感じてしまう程だった。今でもあの海は彼らの傍で静かに彼らを包んでいるのだと祈るような気持ちにさせられる。『海炭市叙景』を少し思い出した」

@chives_may

「喪失との向き合い方とか青みがかった風景とかが、昨年の個人的ベスト『永い言い訳』に通じる