『レ・ミゼラブル』でその名を世界に轟かせたフランスの新進気鋭監督ラジ・リが、パリ郊外で起こる“排除”と“怒り”の衝突を描いた最新作『バティモン5 望まれざる者』が、5月24日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルが披露された。
パリ郊外(=バンリュー)。ここに立ち並ぶいくつもの団地には労働者階級の移民家族たちが多く暮らしているが、このエリアの一画=バティモン5では再開発のために老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められている。そんな中、前任者の急逝で臨時市長となったピエールは、自身の信念のもと、バティモン5の復興と治安を改善する政策の強行を決意。だがその横暴なやり方に住民たちは猛反発、やがて、これまで移民たちに寄り添い、ケアスタッフとして長年働いていたアビーたちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけについに衝突、やがて激しい抗争へと発展していく。
予告編は、今年の夏季五輪開催地でもあり、世界が憧れてやまない都市・パリ、そのリアルな“怒り”を捉えたもの。多くの移民たちが暮らす犯罪多発地区の一画“バティモン5”。臨時市長に就任したピエールは、再開発を言い訳にこの“乱れた”地区を強制的に一掃しようとする。「声を上げなきゃ」「批判ばかりで何もしないのね?」。行政の横暴なやり方に対して住民同士でも葛藤や諦めムードがせめぎ合うが、そんな切実な声はお構いなしに“法の執行”の名の下、あらゆる手段で全てを思い通りに動かそうとする行政。やがて、住む場所を失った住民たちは、このあまりにも横暴な立ち退き要求に対し、徹底抗戦することを決意。「全てを失う苦しみを知れ!」。住民たちの怒りと行政が衝突することになる。「フランスは好きですか?」このシンプルな問いかけが、権力、革新、暴力があらゆる不都合な真実を炙り出していくような映像となっておいる。
ポスタービジュアルは、バンリュー地区の古いアパートが爆破解体される瞬間を切り取ったもの。市長ら行政関係者と多くの住人、野次馬が見守る中、爆炎を上げながら一瞬で崩れ落ちていくその様子は、人と権力の身勝手さの縮図を象徴するような印象的なカットとなっている。
『バティモン5 望まれざる者』
2024年5月24日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ラジ・リ
出演:アンタ・ディアウ アレクシス・マネンティ アリストート・ルインドゥラ スティーヴ・ティアンチュー オレリア・プティ ジャンヌ・バリバール
配給:STAR CHANNEL MOVIES
© SRAB FILMS – LYLY FILMS – FRANCE 2 CINÉMA – PANACHE PRODUCTIONS – LA COMPAGNIE CINÉMATOGRAPHIQUE – 2023