第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したことで、カンヌ映画祭、ベルリン映画祭のいわゆる3大映画祭のグランドスラムを果たし、アカデミー賞を入れると黒澤明以来の快挙を成し遂げた濱口竜介監督の長編映画最新作品『悪は存在しない』が、4月26日より公開される。このほど、予告編が披露された。
制作のきっかけは、石橋英子(企画・音楽)から濱口への映像制作のオファーだった。『ドライブ・マイ・カー』で意気投合した2人は試行錯誤のやりとりをかさね、濱口は「従来の制作手法でまずはひとつの映画を完成させ、そこから依頼されたライブパフォーマンス用映像を生み出す」ことを決断。そうして石橋のライブ用サイレント映像『GIFT』と共に誕生したのが、長編映画『悪は存在しない』である。自由に、まるでセッションのように作られた本作。濱口が「初めての経験だった」と語る映画と音楽の旅は、やがて本人たちの想像をも超えた景色へとたどり着いた。
主演に、当初はスタッフとして参加していた大美賀均を抜擢。新人ながら鮮烈な印象を残す西川玲、物語のキーパーソンとして重要な役割を果たす人物に小坂竜士と渋谷采郁らが脇を固める。
いまだ多くのヴェールに包まれた本作より初公開となった予告編では、ごく緩やかに発展してきた長野県・水挽町(みずびきちょう)で⾃然に囲まれ慎ましく暮らす巧とその娘・花の穏やかな⽣活、そしてそこに舞い込むグランピング場建設計画の模様が描かれている。濱口監督とは『ハッピーアワー』以来のタッグとなる北川喜雄が捉える自然描写にも目を奪われる。
『悪は存在しない』
2024年4月26日(金) Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国公開
監督・脚本:濱口竜介
企画:石橋英子 濱口竜介
音楽:石橋英子
出演:大美賀均 西川玲 小坂竜士 渋谷采郁 菊池葉月 三浦博之 鳥井雄人 山村崇子 長尾卓磨 宮田佳典 田村泰二郎
配給:Incline
【ストーリー】 長野県、水挽町(みずびきちょう)。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧(大美賀均)とその娘・花(西川玲)の暮らしは、水を汲み、薪を割るような、自然に囲まれた慎ましいものだ。しかしある日、彼らの住む近くにグランピング場を作る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりを受けた芸能事務所が政府からの補助金を得て計画したものだったが、森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は巧たちの生活にも及んでいく。
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