山田太一の傑作小説を映画化した愛と喪失の物語『異人たち』予告編

1987年に出版され、第1回山本周五郎賞を受賞、日本を代表する名脚本家・作家、山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を、『荒野にて』、『さざなみ』などのアンドリュー・ヘイ監督の手により再映画化した『異人たち』が、2024年4月19日より公開される。このほど、予告編が披露された。

2003年には英訳され海外でも刊行された原作「異人たちとの夏」は、1988年に大林宣彦監督の手によって、風間杜夫、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子の出演で映画化され、大ヒットを記録。時代を超え、今なお支持される傑作小説を、名匠アンドリュー・ヘイ監督が見事にアレンジした本作は、山田太一のオリジナリティ溢れたストーリーに、ヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出が加えられ、現代のイギリスを舞台とした英語作品として再映画化が実現した。

本作の主人公は、夜になると人の気配が遠のく、ロンドンのタワーマンションに一人で暮らす脚本家・アダム(アンドリュー・スコット)。12歳の頃に死別した両親の思い出を基に脚本を執筆しており、物語と向き合う中でミステリアスな隣人・ハリー(ポール・メスカル)と出会う。互いの孤独を感じ取り、次第に距離が近づいていく2人…。さらにある日、アダムが幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界したはずの父と母が当時のままの姿で住んでいた。アダムは少年時代の心の隙間を埋めるかのように、両親の元へ足を運んでは、2度と取り戻せないと思っていた心満たされる一時を過ごしていく。

死別した両親との交流、ミステリアスな隣人との恋の行方を描くこの幻想譚は、愛と孤独、喪失と再生、さらにはセクシュアリティーといった根源的なテーマを探求し、観客それぞれの心の奥底にある記憶や郷愁を呼び覚ます。また、琥珀色の光がきらめく35mmフィルムの映像美は、観る者をリアルとファンタジーの狭間へと誘い、幽玄にして心を、そして魂を震わす映画体験をもたらす傑作である事を予感させてくれる。

『異人たち』
2024年4月19日(金)公開
監督:アンドリュー・ヘイ
原作:山田太一「異人たちとの夏」
出演:アンドリュー・スコット ポール・メスカル ジェイミー・ベル クレア・フォイ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

【ストーリー】 ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは、12歳の時に交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。その後、アダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった…。

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