カルチャー批評誌「NOBODY」「映画芸術」「Time Out Tokyo」「CINRA」などに映画評を執筆している隈元博樹監督の長編初監督作『あずきと雨』が、11月4日より公開されることが決定した。併せて、予告編とメインビジュアルが披露された。
不動産会社で働くユキは別れたはずのノブと同棲を続けているが、ユキはあることをきっかけに家を出て行くようノブに促す。一方、ユキは勤務先に訪れたリコの家探しに協力するが、地方からの家出少女であることが判明し…。“別れたはず”“出会ったばかり”の男女がもたらす、見る者をふと突き動かすような繊細さとやりきれなさが描かれる。
監督はこれが長編初監督作となる隈元博樹。『リスナー』の久保寺晃一の脚本に惚れ込み、俳優・スタッフと“映画の中で生活する”をベースに本作を撮り上げた。
主人公・ユキ役を演じたのは、昨今俳優だけでなく『距ててて』など監督としての活躍も著しい加藤紗希。リコ役は『天然☆生活』で映画デビューを果たした秋枝一愛、ユキの同僚・カナコ役は演劇集団ロロを中心に活動する望月綾乃が演じ、篠田諒、宮本行、立川らく人など個性に富んだ俳優陣が彩りを加えている。ノブ役を演じたのは、主演作『風のゆくえ』『almost people』が立て続けに公開されるなど、今後の活躍からも目が離せない嶺豪一。ユキを取り巻く俳優たちの華麗なアンサンブルにも注目だ。
メインビジュアルは、映画作品を中心にアートワークを展開する李潤希によって描かれた。
▼キャスト&スタッフ コメント
■加藤紗希(ユキ役)
脚本を初めて読んだときに、端的に言葉で表しづらい関係性がたくさん存在しているところが良いなと思いました。狭い世界の短く小さな事象がつらつらと重なっていくだけの時間。劇的なことは起こらないかもしれないけれど、息苦しくなったりなんだかうずうずぐるぐるとするようなもどかしさを感じつつ、ユキの居場所を探すように演じていました。逃げたり、受け入れたり、立ち入らなかったり、掴めるようで掴めないユキさん。なんとなく監督の隈元さんに重なって感じる瞬間もあったり…。嶺さん演じるノブと対峙したときのなんとも言えない近いようで遠い距離に物悲しさを感じたり、秋枝さん演じるリコと一緒にいると勝手に過剰に心配しちゃったり、2人を見ていると安心と心配が交互にやってきて。そんな中のオアシス的な存在が望月さん演じるカナコでした、自由でほっとして大好き。みんな元気かな。ぜひ劇場でご覧いただけると嬉しいです。
■嶺豪一(ノブ役)
「あずきと雨」を振り返る。この、映画のシナリオは誰かの実体験だったのだろうか、あれ、これ自分話したことあるな。なんて、台詞を覚えているとたまにそんな事を考える時がある。同棲を解消したと同時に、映画の中でも僕はそうなった。現実と映画、日常の中に映画がどろどろと溶け込んできた?映画の中に日常をどろどろと流し込んだ?溶けたアイスは冷やせばまた元に戻るのだろうか?大きい冷蔵庫が欲しいな。そうすれば何でも固まるのではないだろうか。あっ、そうだ!あの子アイス好きだったな。雨の日にも晴れの日にもどんな時にでも観に来てもらえたら嬉しいです。
■隈元博樹(監督)
大切な人に出会うこともあれば、その先には別れが待っていたりもする。この別れをどのようにして映画の中で描くことができるのか。そのことは企画の始まりから撮影が終わってもなお、ずっと考えている気がします。私自身、この映画のふたりのような経験はありません。ただ、短いながらもこれまでの人生の中で別れてしまった人たちのことを思い出したとき、ユキやノブの気持ちに少しでも寄り添うことができるのではないかと。ふとそんなことを思いながら、久保寺晃一さんが書かれたシナリオと向き合いました。加藤さん、嶺さんをはじめ出演者の方々はもちろんのこと、スタッフのみなさんに支えられて生まれた大切な映画。ぜひ劇場でご覧いただけるとうれしいです。
『あずきと雨』
2023年11月4日(土)よりポレポレ東中野にて公開
監督:隈元博樹
脚本:久保寺晃一
出演:加藤紗希 嶺豪一 秋枝一愛 望月綾乃 篠田諒 宮本行 立川らく人
配給:BOTA
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