東京国際映画祭ほか世界で56の賞を獲得!「理想だと思ったその土地は地獄だった」『理想郷』11月公開決定!

昨年11月に開催された、第35回東京国際映画祭にて最優秀作品賞にあたる東京グランプリ(東京都知事賞)のほか、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の主要3部門を獲得したスペイン・フランス合作映画『ザ・ビースト(英題)』が、邦題『理想郷』として、11月3日より公開されることが決定した。併せて、ティザービジュアルがお披露目となった。

都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦ふたりが主人公となる本作は、2010年の発覚から裁判が終わるまでの8年間多くの新聞が報道するなど、スペイン全土に激震が走った実際の事件をベースに映画化した心理スリラー。

名作『わらの犬』でも描かれた“田舎と都会の対立”という題材ながら、コロナ禍以降は田舎暮らしが一時のブームから定着化してきており、日本を含む世界中で酷似した事件が実際に起こっている。そんな中で、本作は人間の暗部に潜む、独りよがりな思考、憎悪、凶暴性に深く迫る。

第35回東京国際映画祭で審査委員長を務めたジュリー・テイモア(演劇・オペラ演出家、映画監督))が、「格差、外国人排斥、都市と農村の隔たりなどを重層的に表現した並はずれた傑作」と絶賛。同映画祭史上、グランプリと最優秀男優賞をダブル受賞したのは大ヒット作『最強のふたり』以来の快挙となった。第37回ゴヤ賞で最優秀映画賞、最優秀監督賞など主要9部門を受賞し、スペインにて2022年に公開された独立映画の興行収入1位を獲得。その後も、第48回セザール賞最優秀外国映画賞をはじめ、世界で56の賞を獲得するなど好評を博した。さらに、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴは、“今年観た中で最も強烈な映画でした”と本作を高く評価した。

監督・脚本を務めたのは、ヴェネチア国際映画祭で高く評価された前作『おもかげ』でスペインの新たな才能として名を知らしめた、新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン。本作は2部構成となっており、主人公夫婦の夫が主となる第1部で、観客はガリシアの村に引き込まれるような緊張感漂う心理スリラーを体験することになる。また、妻が主となる第2部での展開により、本作が実はラブストーリーであることが提示される。計算しつくされた様々な対比、伏線、そしてカメラワークなど、ソロゴイェン監督による演出手腕が光る。

主演のひとり、夫アントワーヌを演じるのは、『ジュリアン』、『悪なき殺人』、『苦い涙』などで観客に強烈な印象を残した怪優ドゥニ・メノーシェ。妻オルガを演じるのは、『私は確信する』、『ヴィーガンズ・ハム』、『シャーク・ド・フランス』など、コメディからシリアスまでこなす実力派俳優マリナ・フォイス。ふたり揃って話題作への出演が続いている旬の俳優である。

ティザービジュアルは、大自然に囲まれた美しい場所で仲睦まじく微笑み合う夫婦の姿をセンターに捉えたもの。しかし、“理想だと思った その土地は 地獄でした”という刺激的なコピーが目に入る。また、少しくすんだ色が全体を包んでおり、この先のふたりに起きる出来事を暗示しているかのような、空を覆う雲が不穏感を醸し出すビジュアルとなっている。

『理想郷』
2023年11月3日(金・祝)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
脚本:イザベル・ペーニャ ロドリゴ・ソロゴイェン
出演:ドゥニ・メノーシェ マリナ・フォイス ルイス・サエラ ディエゴ・アニード マリー・コロン
配給:アンプラグド

【ストーリー】 フランス人夫婦アントワーヌとオルガはスローライフに夢を抱き、緑豊かな山岳地帯スペイン・ガリシア地方の小さな村に移住する。しかし、地元で生まれ育った村人たちは慢性的な貧困問題を抱えており、穏やかな暮らしとは言えない生活をおくっている。隣人兄弟シャンとロレンソは新参者であるフランス人夫婦をあからさまに歓迎しておらず、彼らに嫌がらせをするようになっていく。その後、兄弟の攻撃はエスカレート。夫婦が大事に育てていた農作物をダメにしてしまうなど、嫌がらせの範疇を超えていく。そんな中、村にとっては金銭的利益となる風力発電のプロジェクトをめぐり、村人と夫婦の意見が対立。敵対関係が激化していき…。

© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.