「4年前に短編で上映された作品が、今回念願叶って長編で」ビリヤード場を舞台にした若者たちの儚い夢『たまつきの夢』7月公開

昭和初期の撞球(ビリヤード)場を舞台に若者たちの儚い夢を描いた田口敬太監督作『たまつきの夢』 が、7月15日より公開されることが決定した。併せて メインビジュアルと場面写真がお披露目となり、主演の辻󠄀千恵らよりコメントが寄せられた。

本作の舞台は昭和初期の蓄音機から音楽が流れる撞球(ビリヤード)場。 屋敷の中で暮らす女と撞球世界一を夢見る男が出会い、自由を求め、行動する儚い物語。

主人公は、主演映画『男の優しさは全部下心なんですって』を皮切りに映画、ドラマへの出演が続く辻󠄀千恵、本作では透明感ある自然な演技で存在感が際立つ。『彼女はひとり』で話題となった金井浩人が撞球(ビリヤード)の世界チャンピオンを目指す青年を演じる。『グッドバイ、バッドマガジンズ』の山口大地、『由宇子の天秤』の木原勝利、『Vtuber渚』の佐藤睦ら話題作へ出演するキャスト陣が戦前の市井の人々を演じ映画に彩りを加えている。

監督は『ナグラチームが解散する日』で長編映画デビューし、 2019、2022年と特集上映が組まれた田口敬太監督の待望の劇場公開長編映画第2作目。監督自身の祖父の記憶をモチーフに、極力台詞を排した人物の視線を用いて、純度の高い恋愛映画として時代を超えた男女の感情を繊細に描いた。この映画のために再録された寺尾紗穂の『ねえ、彗星』が入江陽編曲により戦前の昭和歌謡曲として生まれ変わり、現代に響く。

▼キャスト&スタッフ コメント

■辻󠄀千恵(きし乃役)
4年前に短編で上映された作品が、今回念願叶って長編で上映していただけるということでありがたい気持ちでいっぱいです。前回よりも登場人物が増え、ストーリーも奥深くなっていると思います。短編から長編で昇華したこの作品で、いつの時代も変わらない普遍的な魅力を感じていただけたら嬉しいです。

■金井浩人(浅次郎役)
この度、『たまつきの夢』を劇場で観て頂ける運びとなったこと、とても嬉しく思います。情緒あふれるローケーションの中、素敵な方々とこの映画を作った日々は随分と前ですが、思い返すと、とても短く、儚く、一瞬の夢の中にいるようでした。特殊な時代背景の中、どこか浮世離れしていて、それでもなお現実にもがく、登場人物達を楽しんで頂けたらと思います。是非ご覧ください。

■田口敬太(監督)
今作は2019年冬に群馬県の下仁田町で撮影をしました。戦前より交通の要所として栄えた地域で今でもその名残が町並みに残っているような場所です。舞台となった築100年以上の古い家屋の動かなくなった扉の建て付けを直したり、ボロボロの障子や畳を張り替えたりしたのが良い思い出です。戦争という言葉で一括りにされてしまいがちな昭和初期を生きていたごく普通の人々の日常を映画に映したいと思いこの企画を立ち上げました。描きたかったものは特別な出来事ではなく、普遍的な人間の関係と心です。この物語は現代を生きる私たちの中にある渇望や希望、不安、そして夢に似ているかもしれません。

『たまつきの夢』
2023年7月15日(土)より、渋谷ユーロスペースにて全国順次公開
脚本・監督・編集:田口敬太
企画:直井卓俊
主題歌:「ねえ、彗星」作詞・作曲:寺尾紗穂 / 編曲・演奏:入江陽
出演:辻󠄀千恵 金井浩人 佐藤睦 山口大地 木原勝利 桜まゆみ 木田友和
配給:映日果人

【ストーリー】 第二次世界大戦前夜の日本。主人公のきし乃は妾として軍需工場経営者で地主の熊野の邸宅で暮らしている。そんな中、戦地の北京から弟の戦死の知らせが届き恋人と心中を図る。自殺しようと山中に足を踏み入れたところ、浅次郎という男に出会う。きし乃は浅次郎に亡くなった弟の面影を重ねる。当時流行していた結核を患っている浅次郎は兵役免除となり人目につかないように暮らしている。同じく結核で亡くなった妻と始めた撞球場(ビリヤード場)は長引く戦争で風紀を乱すという理由から警察の取締 の対象となっている。それでも浅次郎には夢があった。ビリヤードの世界チャンピオンになること。浅次郎の夢の話を聞いたきし乃は自分の夢を浅次郎に伝えようと、一緒に熊野邸に忍び込むが……。

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