1990年文學界新人賞受賞、103回芥川賞候補となり注目を浴びた、河林満による名篇を、映画監督・白石和彌が企画プロデュースし、髙橋正弥監督、生田斗真主演で映画化する『渇水』が、6月2日に公開される。このほど、予告編、本ビジュアルがお披露目となり、併せて、追加キャストが発表された。
本作は、『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』、『彼女がその名を知らない鳥たち』、『孤狼の血』シリーズ、『ひとよ』など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・白石和彌が、感動の人間ドラマに挑み、初プロデュースした意欲作。日照り続きの夏、市内には給水制限が発令されていた。市の水道局に勤める岩切俊作の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回り、料金徴収と、水道を停止すること(=停水執行)。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々であった。俊作には妻と子供がいるが別居中で、そんな生活も長く続き、心の渇きが強くなっていた。ある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作。彼は自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる…。
予告編では、「督促の期限を過ぎましたので、停水を執行します」と、主人公・岩切俊作(生田斗真)と同僚の木田拓次(磯村勇斗)が水道料金を滞納する伏見(宮藤官九郎)の家を訪れ、水道を停止する場面から始まる。「町中カラッカラだってのに弱いものいじめというか…」と疑問を呈す木田に対し、「支払いが滞れば水道を止める、払えば開ける、俺たちにできるのはそれだけだ」と、規則に則り粛々と業務を遂行する岩切の“渇ききった日常”が映し出される。そんなある日、岩切はたった二人で家に残された幼い姉妹(山﨑七海、柚穂)に出会う。葛藤を抱えながらも「規則だから」と水道を停める岩切だったが、その姉妹が厳しい生活を強いられていく様子を目の当たりにすることになる。
姉妹の母親である有希(門脇麦)に「それでも親か?」と投げかける岩切だったが、「あんたの家族は幸せなの?」と返され言葉を失う。妻と幼い息子との関係に問題を抱えていた。「このままじゃダメなんだよ」と苦悶の表情で叫ぶ岩切。この渇いた世界で、岩切が葛藤の末たどり着く結末とは?「大雨降らせてやろうな、カラッカラの町に」という最後の言葉が意味するものとは?
予告編前半には向井秀徳が書き下ろした主題歌「渇水」も印象深く登場し、向井からのコメントも到着。「人間は常に苛立っている。絶望している。そうなのか。そうではない。そうではないはずだ、と、この映画は俺に問いかけている。そんなことを思いながら「渇水」という曲を作りました」と、作品に通じた楽曲の仕上がりを振り返った。
▼向井秀徳
また、本ビジュアルでは、“渇いた世界に、希望の雨は降るのか――。”というコピーとともに、主人公・岩切が大雨に打たれる姿が大きく映し出されている。希望なのか、はたして絶望なのか、雨を全身で受け止める岩切の表情、そして岩切を取り巻く登場人物たちの姿も印象的なビジュアルとなっている。
そして今回、新たに7名のキャスト情報も公開された。水道料金滞納者・今西を宮世琉弥が、同じく水道料金滞納者・坂上に吉澤健、有希の“今度の人” 大林に篠原篤、小出家の近隣住民・竹内に柴田理恵、熱帯魚店店長・石川に森下能幸、スーパーマーケット店長・細川を田中要次、岩切が関わることになる刑事・加東刑事で大鶴義丹が、それぞれ演じることも明らかに。渇ききった岩切の人生にどんな影響を与えていくのか、期待したい。
『渇水』
2023年6月2日(金)より、全国公開
監督:髙橋正弥
原作:河林満「渇水」
脚本:及川章太郎
企画プロデュース:白石和彌
主題歌:向井秀徳「渇水」
出演:生田斗真 門脇麦 磯村勇斗 山﨑七海 柚穂 宮藤官九郎 宮世琉弥 吉澤健 池田成志 篠原篤 柴田理恵 森下能幸 田中要次 大鶴義丹 尾野真千子
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 日照り続きの夏、市内には給水制限が発令されていた。市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回り、料金徴収と、水道を停止すること(=停水執行)。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々であった。俊作には妻と子供がいるが別居中で、そんな生活も長く続き、心の渇きが強くなっていた。ある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作。彼は自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる…。
©『渇水』製作委員会