レインボー・リール東京グランプリをはじめ国内外の映画祭で10冠を獲得した東海林毅監督の傑作短編を長編化。ゲイでナルシストの老絵本作家と、美しいウリセンボーイの出会いと旅から浮かび上がる、過去と未来の家族物語『老ナルキソス』が、5月20日より公開されることが決定した。併せてメインビジュアルがお披露目となった。
「ゲイ」という呼び名もまだ一般的ではない時代から日陰者として社会の方隅で生きてきたナルシストの老絵本作家。差別や偏見との闘いの時代を経てすでに性的マイノリティが可視化されたLGBT世代のウリセンボーイ。世代も考え方も違う二人の個人的な関係の中から立ち現れる、同性愛者たちの過去と未来の「家族」にまつわる葛藤の物語だ。パートナーシップ制度は「ある」が同性婚は「ない」という中で、「家族」のあり方を問いかける。
主演は、名バイプレーヤー田村泰二郎と、主演作が続き勢いにのる水石亜飛夢のW主演。田村は長編初主演で、出演作に『太陽』(2005/アレクサンドル・ソクーロフ監督)や『沈黙 -サイレンス』(2017/マーティン・スコセッシ監督)がある。水石亜飛夢は、2021年『国民の選択』(宮本正樹監督)と『黄龍の村』(阪元裕吾監督)の2作品で初主演を果たした。
ウリセンボーイ(水石亜飛夢)のパートナー役では寺山武志、絵本作家(田村泰二郎)の青年時代を田中理来といった若手俳優が熱演し、日出郎、モロ師岡、津田寛治、千葉雅子といったベテランが脇を固める。また、絵本作家のかつての恋人役を村井國夫が存在感たっぷりに演じる。音楽は『舟を編む』(2013/石井裕也監督)で日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞の渡邊崇、撮影はこれまでも東海林監督と多くの作品でタッグを組んできた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022)の神田創。
メインビジュアルは、黒バックに水石亜飛夢が田村泰二郎を後ろから抱きかかえる写真が浮かび上がる。水石の下についた左手は水面に映っているように見えて、2人とも「水面に映る美しい自分に口づけしようとして水に落ちる」神話の中のナルキソスのような、メインビジュアルになっている。
『老ナルキソス』
2023年5月20日(土)より、新宿K’s cinema 他にて全国順次公開
脚本・監督:東海林毅
出演:田村泰二郎 水石亜飛夢 寺山武志 日出郎 モロ師岡 津田寛治 田中理来 千葉雅子 村井國夫
配給:オンリー・ハーツ
【ストーリー】 ゲイでナルシストの老絵本作家山崎は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ――自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる…。
© 2022 老ナルキソス製作委員会