第71回ベルリン国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞、第22回東京フィルメックス最優秀作品賞受賞。ホン・サンスをしのぐカメラワーク、ウディ・アレン映画のごとくロケ地の魅力が全開する、今までにない手触りのジョージア映画『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』が4月7日より公開されることが決定した。併せて、日本版ティザーポスターがお披露目となった。
穏やかな空気に包まれた素朴なおとぎ話。光と色を計算しつくし、16㎜フィルムを使った柔らかなルックは、どこを切り取っても絵画のような美しさ。そして、丸みを帯びたジョージア文字が一瞬にして観客を魔法に掛けるアイデアに、ほんのりと心温まるラスト。ヨーロッパの桃源郷と呼ばれる自然の風景も相まって、本作『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』が2021年に開催された第22回東京フィルメックスで最優秀作品賞と学生審査員賞をW受賞した。
監督をつとめたのは、本作がドイツ映画・テレビアカデミー(DFFB)の卒業制作作品になるジョージア出身の新星アレクサンドレ・コべリゼ。滝口竜介監督作『偶然と想像』が銀熊賞を受賞した2021年の第71回ベルリン国際映画祭では、同じコンペティション部門に本作が選出され、今後が注目されている。
映画の世界を引き立てる、さりげないピアノとハープの音色。ジョージアから届いた恋愛映画のヌーベルヴァーグが、恋を忘れた人々に魔法をかける。本作は、“呪い”と“一目惚れ”という不思議な現象を軸に、一見関係の無さそうないくつかのストーリーが展開され、見事にラストに収束されてゆく。これまで日本で上映されてきたジョージア映画とは明らかに異なる、未来を向く感性で彩られた、ファンタジックな味わいと温かな手触りのラブストーリーとなっている。この大人のおとぎ話の舞台となるのはジョージア第三の都市、クタイシ。旧市街の建築物や印象的な橋、ヒロインがお弁当に用意する伝統的なジョージアのパン“ハチャプリ”、新作映画のために街でカップルを探すカメラマン、メッシファンの子供たちやサッカー観戦が趣味の野良犬たち。それぞれが織りなすオムニバス小説のようなストーリーがやがてひとつになり、恋の魔法が現実のものとなる…。
日本版ティザーポスターは、主人公2人の出会いのシーンをイラスト化したもの。女性が落としたエメラルドグリーンの本を拾った男性の足元だけを映したこの場面は、本編のなかでも印象的であり、観客の心を冒頭から魅了する。加えて日本語ロゴはグルジア文字の柔らかさを表現した手書き風。映画を見ると、主人公たちと一緒に様々な建物を見たり何気ないお店に立ち寄ったり、まるでジョージア旅行をしているかのような気分になることから、ガイドブックの表紙風デザインが完成した。本ポスターのイラストはWOWOW、NTT docomo、FUJIXEROXなど、企業系広告を多数手掛けるchi80(チエイティ)、デザインは『離ればなれになっても』『恋のいばら』などのポスターを手掛けたグラフィックデザイナーのヒノキモトシンゴが担当した。
『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』
2023年4月7日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリー、アップリンク吉祥寺 他にて公開
監督:アレクサンドレ・コベリゼ
出演:ギオルギ・ボチョリシヴィリ オリコ・バルバカゼ ギオルギ・アンブロラゼ アニ・カルセラゼ ヴァフタング・パンチュリゼ
【ストーリー】 ヨーロッパの桃源郷と呼ばれるジョージア(旧:グルジア)の美しき古都、クタイシ。街中ですれ違いざま本を落としたリザと拾ったギオルギ。たった数秒、言葉を交わしただけの2人は夜の道で再会する。あまりの偶然に、名前も連絡先も訊かないまま、翌日白い橋のそばにあるカフェで会う約束だけをする。しかし邪悪な呪いによって、翌朝2人は目覚めると外見が変わってしまう―それでもリザとギオルギは約束したカフェに向かい、現れない相手を待ち続ける。待ち人も姿が変わっているとは知らずに…。
© DFFB, Sakdoc Film, New Matter Films, rbb, Alexandre Koberidze