「ソラニン」から約11年後に連載され、漫画家として残酷なまでの“業”を描き浅野いにおの新境地となった“極限”の衝撃作を、竹中直人が監督、斎藤工、趣里、MEGUMIが共演で描く『零落(れいらく)』が、2023年3月17日より公開される。このほど、本予告編とポスタービジュアルがお披露目となり、併せて吉本ばなな、斉藤和義よりコメントが寄せられた。
本作の原作「零落」は、圧倒的な空虚感という極限状態を経験して初めて現れる、人気漫画家の本当の姿、漂流する“表現者”の魂の喪失と覚醒が描かれている。
本予告編は、元人気漫画家の堕ちゆく姿が映し出される。人気漫画家として脇目もふらず駆け抜けてきた深澤(斎藤工)は8年間の長期連載を終え、真っ白な原稿を目の前にペンが動かずにいた。敏腕漫画編集者の妻(MEGUMI)からは今、売れている20代の若手漫画家を勧められ、漫画家としての自分に口を出してくる人気漫画家・牧浦かりん(安達祐実)やアシスタント。「どいつもこいつも」と不満を抱えながら、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごしていた。SNSには読者からの辛辣な酷評、売れ線狙いの担当編集者とも考え方が食い違い、多忙を極める妻とは喧嘩が絶えず、離婚の危機。世知辛い世間の煩わしさから逃げるように漂流する深澤は、ある日、「漫画はどちらかというと嫌いかも」という“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆ(趣里)と出会う。堕ちよ、生きよ!堕落への片道切符を手にした深澤は、人生の岐路に立つ……。
ポスタービジュアルでは孤独と向き合う覚悟を抱えた深澤が、朝焼けの海辺に佇む。海の波と朝焼けのグラデーションの色合いが、深澤の繊細な気持ちの機微を表している。主人公を囲む個性的な女性たちと深澤の関係性・行く末を想像させるビジュアルとなっており、キャッチコピーでは主人公と女性からのセリフで相入れない男女の関係が表現されている。
また、追加キャストとして深澤の大学時代の友人の山石役・吉沢悠、加賀役・菅原永二、平野役・黒田大輔が参加。学生の頃から変わらない深澤に妻との関係を心配する。佐々木史帆演じる風俗嬢・まりめっこは制服姿で登場するゆんぼ(信江勇)とはまた違った個性的なキャラクターのため、登場シーンに乞うご期待だ。そして、フリーライター(志磨遼平)と共に深澤にインタビューする編集者の塚田役・安井順平は「マンガ愛」を語り、さらに深澤の怒りを買う。宮﨑香蓮は深澤のファンでSNSでもメッセージのやりとりするアカリ役を演じる。竹中直人監督作品らしく、しりあがり寿、大橋裕之……and more!!といったバラエティ豊かなミュージシャン、漫画家、映画監督らの著名人が多数出演し、賑やかにスクリーンを彩る。
さらに、吉本ばなな、斉藤和義からクリエイターとしての共鳴コメント到着した。本予告編の冒頭に流れる、「もがくほどになにもかもがダメになっていく時期はある。そしてそこにしかない絶対的な美しさもある。観ていてとても苦しいのに、美しさにしか気づけないすばらしい映画だった。」という小説家・吉本ばななからのコメントは作家としての苦しさ、美しさを印象的に語る。そして、ミュージシャンの斉藤和義も本作をいち早く鑑賞し、「グッと入り込めて一気に見てしまう映画でした。役者陣も素晴らしいし映像も美しい。それぞれの人生模様がリアルで思うところ沢山ありました。」と、早くも小説家・ミュージシャンといったクリエイターならではの共鳴コメントが到着した。
主題歌はドレスコーズの志磨遼平が書き下ろした「ドレミ」に決定。深澤のアンニュイな心象風景が目に浮かぶような、哀愁漂うバラードを歌い上げている。そして、志磨遼平は本編にフリーライター役で出演。漫画に登場する人物の名前を間違え、深澤につっこまれ、強烈なインパクトを残す。主題歌である「ドレミ」と劇中歌に使用されている「スーパー、スーパーサッド」のオリジナル音源を収録した7inchレコードも3月8日(水)に発売されることが決定。映画『零落』内で流れる「スーパー、スーパーサッド(劇中ラジオedit)」を聴くことができるダウンロードコードが封入される予定だ。本商品はELR store(ECサイト)と一部店舗で購入することができる。販売店舗は後日発表される。
『零落(れいらく)』
2023年3月17日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー
原作・浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人
脚本:倉持裕
音楽:志磨遼平(ドレスコーズ)
主題歌:ドレスコーズ「ドレミ」(EVIL LINE RECORDS)
出演:斎藤工 趣里 MEGUMI 山下リオ 土佐和成 吉沢悠 菅原永二 黒田大輔 永積崇 信江勇 佐々木史帆 しりあがり寿 大橋裕之 安井順平 志磨遼平 宮﨑香蓮 玉城ティナ 安達祐実
配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ
【ストーリー】 8年間連載してきた漫画が完結を迎え、“元”売れっ子漫画家となった深澤。 次回作のアイデアも浮かばず、担当編集者からはぞんざいに扱われ、募る敗北感。
すれ違いが生じていた妻との関係は冷え切り、 漫画家として切望されることのない現実が始まった。時間を浪費するだけの鬱屈した日々は 深澤を蝕んでいく。虚無感を抱えたまま立ち寄った風俗店で、 深澤は猫のような眼をした「ちふゆ」と名乗る風俗嬢と出会う。 自分のことを詮索せず、ただ「あ なたはあなた」と言って静かに笑う 「ちふゆ」に、急速に惹かれていく深澤。 ある日、深澤は「ちふゆ」とともに彼女の故郷へと向かうことにな り。
©2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会