渡辺謙「応援しているようでいて、背中を押されている」民宿で紡がれた「絆」のその先『ただいま、つなかん』2023年2月公開

宮城県気仙沼市唐桑半島にある民宿「唐桑御殿つなかん」を舞台に、山あり谷ありの半生を辿りながらも持ち前の明るい性格で人々から慕われる女将・菅野一代さんと仲間たちが、ともに積み重ねてきた歳月を追ったドキュメンタリー映画『ただいま、つなかん』が2023年2月下旬より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと語りを担当した俳優・渡辺謙の収録場面写真がお披露目となり、渡辺&風間研一監督よりコメントが寄せられた。

この作品は、東日本大震災で自宅を失い、海難事故で家族を亡くした一代さんと、震災当時に学生ボランティアだった若き移住者たちが復興のその先を見据えてともに歩み、新たなチャレンジをしていく様子を捉えたテレビ報道発のドキュメンタリー。

監督は、3.11当時テレビ報道の現場にいた現役ディレクター・風間研一(本作初監督)。10年以上にわたり長期取材を継続し、全国ニュースで放送されるたびに多くの反響を呼んできた映像に、新たなシーンを加え、一本の映画にまとめあげた。

映画化にあたり、語りを引き受けてくれたのは3.11直後から菅野夫妻や気仙沼と深い関わりがある俳優・渡辺謙。長年の関係に裏打ちされた人物や土地への深い理解と思いのこもった語りで作品を温かく包みこむ。本編中には、同じく夫妻と長年親交があり、今もつなかんと一代さんを見守り続けているコピーライターの糸井重里も登場。音楽は気仙沼出身・仙台在住で、みなと気仙沼大使も務めるジャズピアニスト・岡本優子が映画のためにオリジナル楽曲を書き下ろした。

映画が捉えた、一代さんと若者たち、それぞれの人生。そこには、これまでもこれからも変わらない“人と人とが思い合い、ともに生きる姿”がある。

■渡辺謙(語り)コメント
2011年以降、気仙沼に回数がわからないくらい通っているので、一代さんにも何回もお会いしています。彼女が体験したいろんな思いも理解をしているつもりなので、先に原稿と画を見せていただいた時に、不覚にも、原稿に目を移せないくらい感情を揺さぶられてしまいました。本当によく知った人たち、よく見た風景、画面を通して、自分の中にいろんな思いが出てくる作品でした。だからこそ、是非このナレーションをやりたいと思ったんです。地域に根ざして、一緒に未来を作るっていう、この作品に出てくる若者たちと同じ思いで僕自身も気仙沼と関わっていますね。応援しているようでいて、背中を押されている感じはある。辛い思いも一緒に、経験をさせてもらった気はします。そういういろんなことも含めて、一代さんが今まで、そしてこれから生きていく、「道」みたいなものが、たくさんの方々に共鳴するんじゃないかと思っています。


©️2023 bunkakobo

※渡辺謙さんに語りをお願いした経緯
東日本大震災直後から、「何かをしなければいけない」という衝動に駆られたという渡辺さんは2013年に気仙沼の友人たちとともに、カフェ「K-Port」を開業。以来、気仙沼に通い続け、地元の人たちとともに未来を作るための取り組みを続けています。菅野夫妻とは、2012年12月にテレビ番組の取材(本作とは別)がきっかけで出会いました。牡蠣養殖業を営んでいた夫妻の元を訪れた渡辺さんは、夫・和享さんの船で漁業体験をして以来、夫妻と親交を続け、いまも一代さんや民宿つなかんを見守っています。そんな背景を知る風間監督は「本作の語りは渡辺さんしか考えられない」と、思い切ってオファーしました。

■風間研一(監督)コメント
2012年1月、当時ディレクターをしていたテレビ朝日「モーニングバード!」で震災から1年に関する特集企画を考えていたところ、河北新報に載っていた菅野一代さんの記事に出会いました。以来、番組での取材、個人での取材、時にはプライベートでの宿泊で、東京から唐桑へと何度も通いました。一代さんに初めて会ったのは雪が降り積もるとても寒い日で、学生ボランティアにワカメの仕分け作業を教える一代さんの声だけが、明るく元気に響き渡っていました。その後、いつ行っても「つなかんに一代さんがいる」ことは変わりませんでしたが、周囲の人々や地域の環境は、行く度に“変化”がありました。唐桑の町に、かつての学生ボランティアが次々と移住し、「つなかん」を中心としたコミュニティが新たに作られていく過程を目にし、驚くと同時にとても嬉しく、貴重な現場に立ち会えている喜びを感じました。「つなかん」という場所とそこに集う人々を見つめ続けて、様々な経験を共有させてもらった大切な“時間”を映画にしたい。いつしかそう考えるようになっていました。それから3年、紆余曲折ありましたが、和享さんと一代さんに導かれて、ここまで来ることができました。この間、1人の取材者として私自身も「つなかん」に育ててもらったと思っています。先が見えにくい世の中で、自分の進む方向をどこか見失っている人もいるでしょう。そんな人をはじめ、多くの人に是非、この映画を見て欲しいと思います。きっと“何か”を感じるはずです。一代さんや気仙沼に縁のある皆様の力を結集して作ったこの映画から、未来に繋がる新たな“きっかけ”が生まれることを願っています。


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©️2023 bunkakobo + ©鈴木盛男


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©️2023 bunkakobo + ©️加藤拓馬


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『ただいま、つなかん』
2023年2月下旬より、東京・ポレポレ東中野、宮城・フォーラム仙台にて劇場公開、ほか全国順次公開
監督:風間研一
語り:渡辺謙
配給・宣伝協力:ウッキー・プロダクション

【作品概要】3.11からコロナ禍までたくさん笑ってたくさん泣いてこころを紡ぐ民宿「つなかん」の物語宮城県気仙沼市唐桑半島鮪立(しびたち)。美しい入江を見下ろす高台に民宿「唐桑御殿つなかん」はある。100年続く牡蠣の養殖業を営む菅野和享さんと一代さん夫妻は、東日本大震災当時、津波により浸水した自宅を補修し、学生ボランティアの拠点として開放、半年間で延べ500人を受け入れてきた。若者たちに「つなかん」と呼ばれたその場所は夫妻の「皆がいつでも帰ってこられるように」との思いから、2013年の秋に民宿に生まれ変わる。女将となった一代さんは、自慢の牡蠣やワカメを振る舞い、土地の魅力を自ら発信。そんな「つなかん」に引き寄せられるかのように、次々とこの地に移り住む元ボランティアの若者たち。彼らは海を豊かにする森を育てたり、漁師のための早朝食堂を営んだり、移住者のサポート体制を整えたりと、地域に根ざしたまちづくりに取り組み始める。復興のその先を見つめる一代さんと若者たち。そんなある日、海難事故が発生。養殖業を廃業し、閉じこもりがちになった一代さんを思い、全国各地から「つなかん」に集まってくる元ボランティアや仲間たち。涙なみだの時を経て、民宿は再開。いつしか若き移住者たちは新しい命を授かり、地域を担う立場となっていく。そして、コロナ禍による民宿存続の危機の中で迎えた2021年3月11日。震災から10年という節目を機に、一代さんは大きな一歩を踏み出そうとしていた。

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