世界の紛争地を飛び回ってきた日本人記者の視点から“戦場の今”を映し出すドキュメンタリー映画『戦場記者』が、12月16日より公開される。このほど、予告編&ポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、2022年3月に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭に於いて上映された『戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実』を基に、更なる取材を重ね、様々な地域の戦場の実態レポートを拡充すると共に、それを世界に発信するために粉骨砕身する記者自身のストーリーを重ね合わせたことにより、よりグローバルで、ドラマチックな内容となっている。監督は、TBSテレビに在籍し、中東支局長として現在ロンドンを拠点に、世界中を飛び回る特派員の須賀川拓(ひろし)。彼が監督として、時にファインダーの中でレポーターとして、戦地の状況とその裏に潜む社会の問題を伝える。
予告編では、ガザ、ウクライナ、アフガニスタンなど、世界の紛争地を須賀川が駆け巡る様子が緊迫感たっぷりに描かれる。アフガニスタンでは、偶然出くわしたタリバン最高幹部・ムッタキ外相へ直撃インタビューを敢行。タリバンの市中パトロールへの同行取材を行う。イスラエルでは空襲警報が鳴り近くにも着弾する中、息を切らしシェルターへ駆け込む様子を伝えるかと思えば、迎撃ミサイルシステム・アイアンドームの姿を間近で詳細に報告するなど、須賀川が抜群の行動力と、類まれな分析力で戦場の姿を浮き彫りにしていく過程を垣間見ることができる。
ウクライナでは非人道的な兵器であるクラスター弾が使用されている問題を提起。家族や住む場所を失ったガザ住民の悲痛な心の叫びに寄り添う姿や、貧困が深刻化する中、ドラッグ中毒者が増え続けるアフガニスタンの悲惨な現状を訴えるなど、“遠い国の出来事”を日本人の目の前に届けようと奮闘する須賀川の様子が描かれる。
中でも「(一般住民が)戦争の狂気の受け皿になってしまっている」「秩序もクソもない」と語る須賀川の言葉から、無差別攻撃や民間人の巻き添え被害など「戦争犯罪」に対する彼の強い姿勢を感じることができる。紛争地の子供たちの視線も印象的で、「戦争が日常化」してしまっている彼等の姿は、日本に暮らす我々が想像もつかないような紛争地のリアルを肌で感じさせる。
須賀川は何故戦地を目指すのか。世界の紛争地を精力的に取材する彼の瞳が捉えるものとは。
ポスタービジュアルは、現在も戦争が続くウクライナで南部の要衝オデーサへ入り、街の様子が戦争によって一変しているさまを目撃した瞬間の須賀川の表情を捉えたもの。今、世界で起きている危機の圧倒的なリアルを体感できる本作への期待を高めてくれるだろう。
『戦場記者』
2022年12月16日(金)より、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
監督:須賀川拓
配給:KADOKAWA
©TBSテレビ