映画長編デビュー作『人の望みの喜びよ』で第64回ベルリン国際映画祭にてスペシャルメンション(準グランプリ)を受賞した杉田真一監督が、井上真央主演で“娘”と“母”の繊細な家族像を描く『わたしのお母さん』(製作時タイトル『閉じ込めた吐息』より改題)が、11月11日より公開される。このほど、10月13日にユーロライブにて完成披露上映会舞台挨拶が行われ、キャストの井上真央、石田えり、そして杉田真一監督が登壇した。
本作は、互いの気持ちのすれ違いに葛藤する娘と母の心情を描く物語。母との関係が苦しい主人公・夕子役を演じた井上は、脚本を読んだ感想を聞かれると「なかなか地味な作品だと思った(笑)」と本音。続けて「静かに感情の部分を紐解いていく感じで、こういう静かな映画っていいなって」とコメントした。
悪気なく娘を追い込んでしまう母・寛子を演じた石田は、演じながら「自分も傷つくし、娘も傷付く。なんとかなんないのかな?このお母さんは?と思いながら」演じていたという。これに井上は「でも、観る方によっては、“すごい優しいなあ”って感じる人もいれば、“ウザい〜”と思う人もいるかもしれない」と、絶妙なラインを見事に演じた石田を絶賛していた。
思い出深いシーンについて聞かれた井上は「洗濯物を畳んでいるシーン。(母役の石田に)洗濯物を畳み直される」シーンを挙げ、「私は何とも思わないんですけど、夕子はあの瞬間がちょっと嫌だって思う。この積み重ねが小さい頃からあったと思うので、“分かる!”という人と分かれるのかな?」と観客の心理を分析。このシーンは監督がこだわっていたそうで、井上は「何回もやりましたよね?」と小声で漏らすと、石田は「しつこいよねえ…」と杉田監督を揶揄して会場を笑いで包んでいた。
『わたしのお母さん』
2022年11月11日(金)より、ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:杉田真一
出演:井上真央 石田えり 阿部純子 笠松将 ぎぃ子 橋本一郎 宇野祥平
配給:東京テアトル
【ストーリー】 三人姉弟の長女で、今は夫と暮らす夕子は、急な事情で母の寛子と一時的に同居することになる。明るくて社交的な寛子だったが、夕子はそんな母のことがずっと苦手だった。不安を抱えたまま同居生活がスタートするが、昔と変わらない母の言動に、もやもやした気持ちを抑えきれない夕子。そんなある日、ふたりの関係を揺るがす出来事が…。
©2022「わたしのお母さん」製作委員会