様々なテーマを愛と毒のある切り口で、数々のコラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説を、『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』などの松永大司監督が鈴木亮平主演、宮沢氷魚共演で映画化する『エゴイスト』が、2023年より公開されることが決定した。併せて、キャスト&スタッフからコメントが寄せられ、場面写真がお披露目となった。
まるで自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔。最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。浩輔は龍太との出会いによって鎧を脱ぎ捨て、誰かを心から愛する喜びを知っていく。しかしやがて大切な人との関係を断たれたとき、浩輔はこの愛のかたちは自己満足なのではないか、彼らを追い詰めていたのではないかと、自問自答を始めることになる。愛とは自分を救うためのエゴなのか、それとも……? 前半の甘美な展開から一転、浩輔が自らに向ける根源的な問いが観る者の心を揺さぶり、観終わったころには『エゴイスト』というタイトルが、さらに胸の深い場所に刺さることだろう。戸惑うほどに深くて静かな愛と赦しの物語が誕生した。
原作は数々の名コラムを世に送り出してきたエッセイスト高山真の自伝的小説「エゴイスト」。監督は、『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』『Pure Japanese』などを手掛けた松永大司。トランスジェンダーである友人を撮影したドキュメンタリー『ピュ〜ぴる』から約10年。本作『エゴイスト』脚本執筆の際には入念なリサーチを行い、主人公・浩輔のライフスタイルの細部までリアルに描写。登場人物たちの心情に寄り添うドキュメンタリータッチでリアリティあふれる映像が、親密な時間の温度感や、愛するがゆえに生まれる葛藤を繊細に伝えている。
原作「エゴイスト」の文庫版が8月5日(金)発売予定 © 高山真/小学館
主人公の浩輔を演じるのは『孤狼の血 LEVEL2』の怪演で第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ多くの賞を受賞し、今最も説得力があり、勢いに乗っている俳優・鈴木亮平。役柄に合わせて身体をコントロールするストイックさと深い洞察力、そして緻密な役作りで数々のキャラクターに命を吹き込んできた名優が、強さと脆さを同居させた生々しい演技力で観る者を引き込み、新たな境地を開拓した。龍太役には『騙し絵の牙』、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」など話題作への出演が続く宮沢氷魚。透明感あふれる儚いたたずまいが、愛を注がれる純粋な青年、龍太のキャラクターに説得力を与えている。
▼キャスト&スタッフ コメント
■鈴木亮平(浩輔役)
「愛はエゴか、エゴが愛か」 これは私が昔から考え続けてきたテーマでした。原作小説を初めて読んだ時、著者も同じテーマに向き合ってきた方なのではないかと感じました。この映画が静かに、皆様の心の深い場所へ届きますように。
■宮沢氷魚(龍太役)
「エゴイスト」という作品に出会い、僕は人間の本質、原点とはなんなのかを考えさせられました。愛とは一体なんなのか。無条件の愛など存在するのか。たくさん悩み、苦しみ、でも希望の光を目指してこの作品に挑みました。二人の人間の愛情と生き様をまるでドキュメンタリーのように描いた作品が完成しました。一人でも多くの人にこの作品が届くことを心より願っています。
■松永大司(監督)
自身の監督デビュー作品である、友人を長年撮影したドキュメンタリー映画「ピュ〜ぴる」がジェンダーをテーマにしていた自分にとって、著者である高山真さんの想いが込められた原作を読んだ際、とても心動かされるものがありました。そしてその原作を鈴木亮平、宮沢氷魚らの人間味溢れる俳優たちと共に、力強い映画として完成させることができました。この作品がささやかでも誰かの生きる力になることを願います。
『エゴイスト』
2023年より公開
原作:高山真「エゴイスト」(小学館刊)
監督・脚本:松永大司
脚本:狗飼恭子 音楽:世武裕子
出演:鈴木亮平 宮沢氷魚
製作幹事・配給:東京テアトル
【ストーリー】 14歳で母を失い、田舎町でありのままの自分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし2人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。
© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会