今年1月に開催されたフランス国際ドキュメンタリー映画祭(FIPADOC)にて観客賞に輝き、第40回モントリオール国際芸術映画祭(FIFA)にも正式出品された、バレエの殿堂、パリ・オペラ座を舞台にした情熱のドキュメンタリー『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』が、8月19日より公開される。このほど、予告編がお披露目となった。
世界的パンデミック禍、パリ・オペラ座も静寂が支配していた。「1日休めば自分が気づき、2日休めば教師が気づく。3日休めば観客が気づく」と言われるダンサーたちにとって、1日6~10時間踊っていた日常から突如切り離された日々は、過酷な試練であった。2020年6月15日、3か月の自宅待機を経てクラスレッスンが再開。マチュー・ガニオ、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アマンディーヌ・アルビッソン等、最高位のエトワールたちが、かつてない状況下、“オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作「ラ・バヤデール」の年末公演に向け稽古を重ねていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客配信となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまう。心技体が揃う絶頂期が短く、42歳でバレエ団との契約が終了となる彼らにとって、それは落胆の決断であった。だが、そんな激動の中で新エトワールが誕生。カメラはダンサーたちの心境に寄り添いながら、本番までの特別なシーズンを捉えていく。こうして、芸術の殿堂パリ・オペラ座の新たなる歴史の幕が上がる。
『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』は、監督であるプリシラ・ピザートが、パリ・オペラ座に特別に許可を受け、パンデミック禍の閉鎖からの復活の日々を撮影した貴重な映像が数々収められている。マスクを着けたダンサーたちのレッスン、最高峰のエトワールたちの長い休みからの再開のレッスン、そして、新たな公演(シーズン)に向けレッスンを重ねていく日々。バレエダンサーたちの不安、葛藤、期待といった心境に寄り添いながら、ダンサーと振付師が協力し合い、ひとつの舞台を作り上げていく姿を追っていく。バレエのみならず、全てのエンタテインメントの舞台に立つ人々に贈る作品となっている。
予告編は、パンデミック禍のパリで、3ヵ月ぶりに再開されたレッスンで「ラ・バヤデール」の演目を練習するダンサーたちの姿を切り取った映像から始まる。再開したレッスンで久しぶりに仲間に再会できた嬉しさや、踊ることのできる喜びを噛み締めるダンサーたちの生き生きとした表情が映し出される。しかし開幕4日前にパリ・オペラ座が再閉鎖となり、公演は中止を余儀なくされてしまう。エトワールのユーゴ・マルシャンの「気が変になりそうだ。バレエ団との契約は42歳で終わる。僕らの体の生物学的な時間との闘いだ」という言葉からは、現役でいられる時間が限られているダンサーたちの、一回の公演に懸けられた想いの強さが伝わってくる。急遽、配信用に1回きりの無観客公演が行われることが決定し、ダンサーたちは全てをその一度限りの公演に捧げ、最高の舞台を創り上げる。前代未聞の困難な状況下、新エトワールも誕生し、逆境の中でも強く美しく輝くダンサーたちの姿に、胸を打たれる予告編となっている。
『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』
2022年8月19日(金)より、Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開監督:プリシラ・ピザート
出演:パリ・オペラ座バレエ アマンディーヌ・アルビッソン レオノール・ボラック ヴァランティーヌ・コラサント ドロテ・ジルベール リュドミラ・パリエロ パク・セウン マチュー・ガニオ マチアス・エイマン ジェルマン・ルーヴェ ユーゴ・マルシャン ポール・マルク アレクサンダー・ネーフ(パリ・オペラ座総裁) オレリー・デュポン(バレエ団芸術監督)
配給:ギャガ
【ストーリー】世界的パンデミック禍、パリ・オペラ座も例外なく閉鎖。ダンサーたちは、1日6~10時間踊っていた日常から突如切り離され、過酷な試練と向き合っていた。2020年6月15日、3か月の自宅待機を経てクラスレッスンが再開。かつてない状況下、最高位のエトワールたちは、“オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作「ラ・バヤデール」の年末公演に向け稽古を重ねていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客配信となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまう。心技体が揃う絶頂期が短く、42歳でバレエ団との契約が終了となる彼らにとって、それは落胆の決断であったが、そんな激動の中で新エトワールが誕生する。
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