「皆絶望的な気持ちで毎日過ごしてる」実際に起きた無差別銃乱射事件の犯人の半生を描く『ニトラム/NITRAM』予告編&ポスタービジュアル

第74回カンヌ国際映画祭主演男優賞、第11回オーストラリア・アカデミー賞最多8部門を受賞した、全世界に銃規制の必要性を訴える契機となった無差別銃乱射事件「ポート・アーサー事件」を映画化する『ニトラム/NITRAM』が、3月25日より公開される。このほど、本作の予告編、ポスタービジュアル、新場面写真がお披露目となった。

本作は、1996年4月8日日曜日、オーストラリアの世界遺産でもある観光地ポート・アーサー流刑場跡で起こった無差別銃乱射事件の犯人を描いた初の映画作品。コロンバイン高校銃乱射事件の3年前に起こり、2倍以上の死者数を出した通称「ポート・アーサー事件」は、銃規制の必要性を全世界に問いかける先駆けとなり、さらに当時27歳の単独犯の思想的動機が不明瞭であることも拍車をかけ、新たなテロリズムの恐怖に各国が騒然となった象徴的な出来事として、今なお議論が絶えない歴史的な事件である。本作では、何より“普通”の人生を求めていた20代半ばの青年が、いかにして同国史上最多の被害者を出した銃乱射事件の犯人となったのか、彼がなぜ銃を求め、いかに入手し、犯行に至ったのか、事件当日に至るまでの犯人の“日常”と“生活”、そしてその不可解な半生を破格の臨場感と緊張感で描き出す。

予告編では、みんなと同じになりたいと願う青年ニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)が過ごす日常が、客観的に映し出される。“普通”の若者として、息子に人生を謳歌してもらいたいと思う母親。将来を案じ、できる限りのケアをしようと務める父親。芝刈りの訪問営業を通して出会った女性ヘレン(エッシー・デイヴィス)。そしてサーフィンが上手な彼。両親や周囲の人たちと、花火が大好きでサーフィンに憧れる彼との関係にやがて不穏な雰囲気が漂い、カタストロフを予感させる展開に思わず息をのむ。

ポスタービジュアルには、乾いた空気の中にたたずむニトラムの後ろ姿が収められる。「僕は、僕以外になりたかった。」というコピーも添えられ、本作の世界観を象徴したインパクトあるデザインとなっている。デザインは、雑誌「STUDIO VOICE」や、銀杏BOYZ、cero、VIDEOTAPEMUSICのアルバムジャケットなどで知られるアートディレクターの坂脇慶が手掛けた。

『ニトラム/NITRAM』
2022年3月25日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:ジャスティン・カーゼル
脚本:ショーン・グラント
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ジュディ・デイヴィス エッシー・デイヴィス ショーン・キーナン
配給:セテラ・インターナショナル

【ストーリー】 いつまでも花火遊びをやめられず近所からは厄介者扱いされるニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)。母は彼を“普通”の若者として人生を謳歌してほしいと願う一方、父は彼の将来を案じ出来る限りのケアをしようと努めている。サーフィンに憧れ、ボードを買う資金を買うために芝刈りの訪問営業を始めた彼は、ある日、ヘレン(エッシー・デイヴィス)という女性と出会う…。

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