豊田利晃監督「ただ太鼓の音に震えた」太鼓芸能集団“鼓童”の初主演映画『戦慄せしめよ』2022年1月公開!

佐渡島を拠点に日本の伝統芸能を世界に発信し続け、今年創立40周年を迎えた太鼓芸能集団「鼓童」の初主演映画で、豊田利晃が監督を務める『戦慄せしめよ』が、2022年1月28日より公開されることが決定した。併せて、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

太鼓芸能集団「鼓童」は、太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年、ベルリン芸術祭でデビューし、以来52の国と地域で6,500回を超える公演を行ない、2021年に創立40周年を迎える。また、豊かな自然と芸能の宝庫である本拠地・佐渡において、1988年より佐渡の市町村と共に国際芸術祭「アース・セレブレーション(地球の祝祭)」を開催し、国際交流や地域振興にも大きく寄与している。

本作は、そんな「鼓童」メンバーから届いたメールをきっかけに、気鋭の現代音楽家・日野浩志郎(goat /bonanzas/YPY)が延べ1ヶ月に及ぶ鼓童村での滞在制作で完成させた楽曲群を、阪本順治監督作『王手』の脚本で映画界にデビューし、初監督を務めた『ポルノスター』で日本映画監督協会新人賞を受賞、『青い春』、『ナイン・ソウルズ』、『空中庭園』、『プラネティスト』、『破壊の日』、『全員切腹』などの作品で知られる鬼才・豊田利晃監督が全編を佐渡島で撮影、映像化した震撼音楽映画。

緻密な楽曲群を迫力の鼓童の太鼓が打ち鳴らす、戦慄の89分。日本の原風景をとどめる佐渡島の歴史と神秘を紐解き、音と映像に込めて届けるセリフの一切ない音楽劇。豊田組の盟友である俳優・渋川清彦が出演する。

▼スタッフ コメント

■豊田利晃(監督)
2020年12月、日本中がコロナパンデミックで真っ赤に染まる中、感染者がゼロの佐渡島で俺たちは祈るように撮影をしていた。極寒の佐渡島を恐れることなく、ただ太鼓の音にだけ震えた。鼓童の硬質なストイックさに忘れていた未来を感じた。あの時期、あの場所でないと映らない霊気がここにある。音で奏でるドキュメンタリー。時代が戦慄している。

■住吉佑太(太鼓芸能集団「鼓童」/演奏)
日野浩志郎氏と共に、音作りに没頭できた日々は、鼓童にとっても意義のある時間となった。日野氏は、我々とはまったく違った視点から、鼓童の音楽を見つめ直し、当たり前のように叩き続けてきた太鼓の音の中に、新たな響きを見出そうとしていた。一般的に太鼓は、郷土芸能を想起させることが多い。しかしこの作品の中での太鼓は、そこを通り越して、自然そのものを感じさせる。極限まで洗練された音楽性は、その音色を際立たせ、無個性でありながら自然的な力強さを生み出した。誰も経験したことがないパンデミックの最中、静かに迎えた鼓童創立40周年。劇場で音が届けられない状況下で、自分たちの音楽性や在り方を問い直した。『戦慄せしめよ』というこの映画をきっかけに、豊田監督や日野氏に出会い、新たな価値観や音楽観に触れられたことは、今の時代にも太鼓と向き合い続ける鼓童にとって、必然である気がしてならない。

■日野浩志郎(音楽)
今回の制作を通して鼓童を知るほど、伝統が今でも伝統として存在している理由や力強さを感じていった。スピーカーでは鳴りえない空気の振動、木の鳴り、そして太鼓を打つ姿の美しさ。その圧倒的説得力に純粋に感動し、伝統と向き合う事の意味を深く体感した。その上で正しいとされるものを疑い、音楽として形を成すことを捨てたところからこれは始まる。単なる音の響きを探し、その音にリズムを与え、いくつかのリズムが絡みあうことで大きな律動が生まれ、それは音楽となっていく。僕たちは「作曲家」、「鼓童」として切り分けた関係ではなく、同じ仲間として楽器の持つ音や演奏法、グルーヴを再発見し、その興奮や喜びを共にしていった。ゆえにこれは単に「鼓童の為に作曲した作品」ではない。今自分たちはデビュー当時の鼓童の興奮や発見を追体験しているのではないか、そう思える時間を共にした記録となった。

『戦慄せしめよ』
2022年1月28日(金)より、シネマート新宿にて2週間限定公開
2022年2月11日(金)より、シネマート心斎橋にて1週間限定公開
監督・脚本:豊田利晃
音楽:日野浩志郎
演奏:太鼓芸能集団 鼓童(阿部好江 中込健太 小松崎正吾 住吉佑太 鶴見龍馬 小平一誠 前田順康 吉田航大 三枝晴太 渡辺ちひろ 小野田太陽 詫間俊 中谷憧)
出演:渋川清彦
配給:豊田組

【ストーリー】 佐渡島に流刑された世阿弥のような幽霊が道を歩いている。男は能面を被り、岸壁に立つと火のついた松明で空を叩く。時空を超え、現代の岸壁で裸で太鼓を叩く鼓童の男。太鼓の音は燃え盛る炎のように高まり物語が始まる…。

©越島