「人は誰しも孤立する時が来る」名画を盗んだ老人がついた“優しい嘘”とは?『ゴヤの名画と優しい泥棒』予告編&ポスタービジュアル

今年9月に惜しまれながらも逝去した、『ノッティングヒルの恋人』などで知られるロジャー・ミッシェル監督の長編遺作で、197年の歴史を誇る美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーで起きた、フランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件を基にした感動の実話『ゴヤの名画と優しい泥棒』が、2022年2月25日より公開される。このほど、本作の予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。

世界中から年間600万人以上が来訪し、13世紀後半から20世紀初頭までの間の2300点以上の貴重なコレクションを揃え「英国の至宝」と称えられる美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、そこでスペイン最大の画家と謳われるフランシスコ・デ・ゴヤの「ウェリントン公爵」盗難事件が起こった。この美術館の長い歴史の中で唯一にして最大の事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。彼はゴヤの絵画を“人質”に取り、イギリス政府に対して身代金を要求。TVが唯一の娯楽だった時代、その身代金を寄付してイギリスの公共放送であるBBCの受信料を無料にすることで、孤独な高齢者たちの生活を助けようと行動を起こした。しかし、事件にはもう一つの隠された真相があった…。約50年後に明かされる、イギリス中を巻き込んだ“優しい嘘”とは?

予告編は、ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)が裁判官に起訴状を読み上げられる場面から始まり、前代未聞の名画盗難事件の裏側がテンポよく映し出される。ロンドン警視庁は大勢のマスコミの前で、この事件は、国際的な犯罪組織の犯行と公表。翻弄される警視庁とマスコミだったが、犯人の要求が明らかに。それは、老人たちの公共放送の受信料を無料にすることだった。実の犯人であるケンプトンは自らを「理不尽な税金と闘う、私はロビン・フッドみたいだ」と称すが、「ただのバカよ」と一蹴する妻のドロシー(ヘレン・ミレン)。本作の見どころの一つでもある、バントン夫妻の軽妙なやり取りを垣間見ることができる。ここでケンプトンのチャーミングな人柄を捉えたコメディタッチの前半から一転、夫妻の物語にクローズアップしていく。「全ては人類のために!」と息まくケンプトンに対して、「家族も守れないくせに」と強く責めるドロシー。ケンプトンの悲しそうな表情からは、長年連れ添う二人の間にも何か“しこり”があることを予感させる。ドラマティックな音楽と共に迎えるクライマックス、ケンプトンの「弱きを助ける」信念の強さが描かれる。ケンプトンの弁護人(マシュー・グード)は、法廷で「彼は盗っ人ではありません。ゴヤを借りて世界の弱者を救おうとした」と説く。そして、まるで今を生きる者たちに語りかけるかのように、ケンプトンの「人は誰しも孤立する時が来る。だから寄り添う人が必要だ」という言葉が続く。名画で世界を救おうと人々に優しく寄り添ったケンプトン・バントンの魅力が満載だ。また、映像最後には、「怖い絵」の著書・美術評論家の中野京子より、「アガサ・クリスティーのミステリーばりに、アッと驚くサプライズまで用意されているので、お楽しみに!」というコメントが添えられ、映画ファンだけではなく、ミステリーファン、絵画ファンも見逃せない一作に仕上がっている。

ポスタービジュアルには、「公爵さん、お借りします」というキャッチコピーが添えられ、寄り添う夫婦の横には、ケンプトンによって盗まれた「ウェリントン公爵」が置かれる。

場面写真では、キッチンで仲睦まじく手を取り合うケンプトン夫婦や、息子(フィオン・ホワイトヘッド)と共に街頭でTVの受信料無料を訴えるケンプトンの姿などが収められる。

『ゴヤの名画と優しい泥棒』
2022年2月25日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督:ロジャー・ミッシェル
出演:ジム・ブロードベント ヘレン・ミレン フィオン・ホワイトヘッド アンナ・マックスウェル・マーティン マシュー・グード
配給:ハピネットファントム・スタジオ

【ストーリー】 1961年。197年の歴史を誇る世界屈指の美術館・ロンドン・ナショナル・ギャラリーから、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。ロンドン警視庁はその巧妙な手口から、国際的なギャング集団による周到な計画による犯行だと断定。しかし、この前代未聞の事件の犯人はケンプトン・バントン、60歳。長年連れ添った妻と優しい息子とニューカッスルの小さなアパートで年金暮らしをするごく普通のタクシー運転手だった。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもうひとつの隠された真相が…。当時、イギリス中の人々を巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは!?

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