カトウシンスケ「断固たる決意で臨むとても辛く楽しい撮影」、吉行和子「厳しさと、優しさが満ちていた」『誰かの花』予告編

横浜ジャック&ベティの30周年企画映画で、カトウシンスケ、吉行和子、高橋⻑英ら名優たちが出演する『誰かの花』が、12月18日より横浜ジャック&ベティにて先行公開、2022年1月29日より全国公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となり、カトウシンスケ、吉行和子、高橋長英、そして横浜ジャック&ベティの支配人・梶原俊幸よりコメントが寄せられた。さらに、本作が第34回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に正式出品されることが発表された。

横浜のミニシアター、ジャック&ベティ30周年に向けて企画・製作された本作。鉄工所で働く孝秋は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義とそんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は、数年前に死んだ孝秋の兄と区別がつかないのか、彼を見てもただぼんやりと頷くだけであった。強風吹き荒れるある日、事故が起こる。団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となったのだ。父の安否を心配して慌てた孝秋であったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。だがベランダの窓は開き、忠義の手袋には土が…。一転して父への疑いを募らせていく孝秋。「誰かの花」をめぐり繰り広げられる偽りと真実の数々。それらが亡き兄の記憶と交差した時、孝秋が見つけたひとつの“答え”とは。

予告編では、団地のベランダから落ちた植木鉢と悲痛な事故を巡る登場人物たちの葛藤が色濃く描かれる。事故の本当の加害者は父(高橋長英)ではないかと疑念を抱く息子(カトウシンスケ)とヘルパー(村上穂乃佳)がとった行動とは。おぼろげな意識の父と寄り添う母(吉行和子)が息子に告げた言葉とは。突然の事故に打ちひしがれる被害者の母・子(和田美沙・太田琉星)の憎しみの行く先とは。「誰を憎めば、終わるのか」「誰を赦せば、進むのか」登場人物たち一人ひとりの想いから目が離せなくなる映像になっている。

■カトウシンスケ(孝秋役) コメント
奥田監督の強い想いと、冷静なシンとした意志が渦巻いた、静かな暴風雨の様な映画でした。断固たる決意で臨むとても辛く楽しい撮影でした。それはこれからも、これまでを背負って生きるぞという僕達の宣言でした。正義でも悪でもなく、なんならそんな事もよく分からないまま生きるしかない私やあなたもいる。生き残ろうとする私やあなたを、肯定も否定も出来ない僕だけど、ぎゅーっとしてあげたい。この映画をご覧になる皆様がどのようにこの映画を完成させていってくれるか楽しみです。

■吉行和子(マチ役) コメント
厳しさと、優しさが満ちていました。奥田監督の、想いが画面いっぱいに映し出されていました。撮影はコロナ禍真っ最中でかなり大変でしたが、それが、緊張感につながり、皆んなの心が一つになりました。素敵な作品に参加させて頂き、嬉しかったです。

■高橋長英(忠義役) コメント
奥田監督の経験を元にした脚本は、辛さとそれを乗り越えた強く優しい想いが感じられました。長い人生の中では、自分の頑張りが報われなかったり、思いに反して起こる出来事に巻き込まれる事も多いけど、人はそれを乗り越える力を持っている。年齢や立場により違った見方の出来る作品だと思います。

■梶原俊幸(横浜シネマ・ジャック&ベティ 支配人) コメント
最高に良い意味で、30周年という浮かれ気分を吹き飛ばしてくれる、人に真摯に向き合った作品でした。世の中がより、柔軟さや想像力、あいまいなことへの許容力が欠けてきていることに気づかせてくれる作品です。必ず誰しもに濃厚な余韻を与えるはずです。横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年の節目に、我々は、今後もこういう作品を上映していくべきなんだと、気持ちを新たにしました。

『誰かの花』
12月18日(土)~12月24日(金) 横浜ジャック&ベティにて先行上映
2022年1月29日(土)より、横浜ジャック&ベティ、ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:奥田裕介
出演:カトウシンスケ 吉行和子 高橋長英 和田光沙 村上穂乃佳 篠原篤 太田琉星 大石吾朗 テイ龍進 渡辺梓 加藤満 寉岡萌希 富岡英里子 堀春菜 笠松七海
配給:GACHINKO Film

【ストーリー】 鉄工所で働く孝秋(カトウシンスケ)は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義(高橋長英)とそんな父に振り回される母・マチ(吉行和子)のことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は、数年前に死んだ孝秋の兄と区別がつかないのか、彼を見てもただぼんやりと頷くだけであった。強風吹き荒れるある日、事故が起こる。団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となったのだ。父の安否を心配して慌てた孝秋であったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。だがベランダの窓は開き、忠義の手袋には土が…。一転して父への疑いを募らせていく孝秋。「誰かの花」をめぐり繰り広げられる偽りと真実の数々。それらが亡き兄の記憶と交差した時、孝秋が見つけたひとつの“答え”とは。

©横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画製作委員会