『火垂るの墓』『こどもしょくどう』の日向寺太郎監督が、ベテラン脚本家・冨川元文と初タッグを組んだ日中合作映画で、北原里英が唯一の日本人キャストとして参加する『安魂』が、2022年1月15日より公開されることが決定した。
本作は、中国の作家・チョウ・ターシンの同名原作を映画化。チョウは一人息子を若くして亡くし、原作はその息子との魂の交流を綴った実体験を元にした物語。その原作の核となる「大切な人と死別し残された人々の心の再生」を、冨川元文が脚本で大胆にアレンジを加え、全編中国ロケ・中国語による本作品が完成した。
日本人留学生役を除く全キャストは、中国の役者をキャスティング。主人公の唐大道に、ドラマ「打狗棍」で安徽衛視“國劇盛典”最優秀俳優賞を受賞したウェイ・ツー、息子・英健と青年・劉力宏の2役を演じるのは、「青丘狐傳說」で注目を集めた若手俳優、チアン・ユー。そして日本人留学生・星崎沙紀役に、本作唯一の日本人として出演する北原里英が扮する。白石和彌監督作『サニー/32』で主演を務めるなど、女優として着実に出演作と経験を重ねる北原は、本作では全編中国語の台詞で演じている。
日向寺太郎監督初の日中合作映画であり、初の全編海外ロケとなった本作。コロナ禍の直前2019年秋に中国で撮影され予定通り進んでいたものの、中国ロックダウンの影響で仕上げが一時ストップしてしまったが、2021年に無事完成した。また、詩の芥川賞と言われるH氏賞を受賞、谷川俊太郎の研究と中国語翻訳者としても知られるティアン・ユアンが企画から携わり、本作の実現に大きく寄与している。
■日向寺太郎(監督) コメント
『安魂』は原作者の周大新さんが息子を亡くされ、やむにやまれぬ気持ちで書かれている。同じく子を持つ親として、父親の気持ちが痛いほどわかった。ある日突然大切な人を失った人が、どのようにして生きる力を回復するか、人間にとって生きる根源はどこにあるのか、私は周さんになったかのようにしてこの映画を撮った。
■北原里英(星崎沙紀役) コメント
安魂、参加させていただきました!唯一の日本人キャスト、全編中国語のセリフ、慣れない土地に慣れない撮影環境…!初めてづくしでかなり刺激的な毎日でした!自分のセリフに字幕がついているのはなんとも不思議です。お話は、中国の文化がしっかりとありつつも、日本人のわたしでも分かりやすく、感情移入できるものになっています。さらに中国の俳優のみなさんのお芝居が素晴らしすぎて、それを間近で拝見できて光栄でした。みなさんと言語の壁を越えてコミュニケーションがとれたこともいい思い出です。お楽しみに!
『安魂』
2022年1月15日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
監督:日向寺太郎
原作:チョウ・ターシン
脚本:冨川元文
音楽:Castle in the Air
出演:ウェイ・ツー チアン・ユー チェン・ジン 欒蕾英 チャン・リー 北原里英
配給:パル企画
【ストーリー】 息子の死を受けとめられず喪失感と後悔の念にさいなまれる初老の男性。息子と瓜二つの青年との出会いを通して、次第に息子との失った時間を取り戻すかのように感じるが…。
©2021「安魂」製作委員会