桃果「栃木の方言が難しかった」東日本大震災で被災した少女に手を差し伸べるほうき職人とその娘の葛藤を描く『ほうきに願いを』予告編

桃果と和泉詩がダブル主演、モロ師岡が共演し、東日本大震災で被災した少女に手を差し伸べる鹿沼のほうき職人と、その娘の葛藤を描いたヒューマンドラマ『ほうきに願いを』が、6月25日より公開されることが決定した。併せて、予告編がお披露目となった。

本作は、栃木県鹿沼市で江戸時代から伝わる鹿沼箒を受け継いできた卸問屋の男性が、数年前に前立腺がんを患って人生を振り返った時、自分のこれまでを記録として残したいと考え、宇都宮で演技レッスンのワークショップを開催していた五藤監督の記事が目に留まり、映画製作を依頼したことから企画がスタートした。

ダブル主演を果たすのは、『人狼ゲーム デスゲームの運営人』、『ビブリア古書堂の事件手帖』など人気映画に出演する桃果と、映画『ばぁちゃんロード』での出演や舞台にて活躍する和泉詩。そして、鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男性役に、『キッズ・リターン』で東京スポーツ映画大賞助演男優賞を受賞し、映画『あゝ、荒野』、『私の男』などで癖のある役を演じ確実なインパクトを残す実力派俳優・モロ師岡が扮する。そのほか岩瀬晶子、三坂知絵子、伊嵜充則などが脇を固める。

監督・脚本は、2017年の監督・脚本作『レミングスの夏』で函館港イルミナシオン映画祭にて観客賞グランプリを受賞し、2020年には「日本映画復興奨励賞」を受賞した五藤利弘が手掛ける。

■桃果(石橋美由紀役) コメント
今までは自分が年下の現場が多かったんですが、今回はダブル主演、しかも役も実際も空役の詩ちゃんよりも年上ということもあり、しっかりお姉さんにならなきゃ…という気持ちで現場に入りました。でも思った以上に詩ちゃんがしっかりしていたので、お姉さんになれていたのは作品の中だけかもしれません(笑)。撮影で印象に残っているのは、栃木の方言が難しかったことです!元々台本が方言ではなく標準語だったんですけど、撮影の前日にあれ?栃木は方言だ!って気づいて(笑)。お母さん役の岩瀬さんと詩ちゃんが栃木出身だったので、シーンが変わるたびに教えてもらいながら挑みました!イントネーションなど少し違うなって所があっても大目に見て貰えると嬉しいです(笑)。でも、栃木弁でずっとお芝居をしていたので、撮影終わったあとは栃木弁が恋しくなることもありました!ちなみに私、今作ではじめてお酒を飲むシーンに挑戦したんです。撮影当時、20歳になったばかりだったので、お酒にあまりなれておらず、最初、お茶を飲むように飲んでしまって(笑)。そのあと増田さん役の伊嵜さんが飲み方を教えてくださったので、作中ではいい飲みっぷりになっていると思います。そこにもぜひ、注目してみてください!

■モロ師岡(石橋晃役) コメント
箒職人の役をやらせて頂きました。初めて演じる役柄な上に、私の演じる役のモデルであり、この作品の原案者が撮影現場にいらっしゃっていたので凄いプレッシャーでした。でも、職人という役柄には憧れがありました。職人イコール寡黙というイメージがあったので、高倉健さんの様な渋い芝居をしてやろうと勝手に思っていたからです。しかし、現場で箒職人の方に箒作りを指導して頂きながらの撮影は、箒の穂を編みながらで、とても寡黙な高倉健さんの様な芝居をしている余裕はありませんでした。でも、役柄的には不器用な男だったので、不器用な雰囲気は出てかえって良かったのかも知れませんが。撮影は、鹿沼の地元の方が住んで居られるお家を貸して頂き、そこで撮影や支度まで使わせて頂きました。そこに、近所の猫がいて、人の家なのに我が物顔で、全く借りて来た猫の様子がなく、とても可愛くて癒されました。そして、庭先でロケ弁を食べたり、有名な宇都宮のペニーレインのパンの差し入れがあったり、晩秋の少し寒い時期でしたが、アットホームな暖かい気持ちで撮影する事ができました。また、撮影初日で行った大笹牧場も素晴らしい景色で、自然の力を借りて芝居も自然に出来たと思います。どうか、この映画をご覧になって元気になって頂き、心の隅に溜まってる疲れをこの作品で掃き出して貰えたらと、箒だけに。最後に、原案の鈴木隆様、私の箒はとても鹿沼箒の足元にも及ばないと思いますが、鈴木さんがモデルになった、一生懸命でちょっと不器用で家族思いな暖かい男を精一杯演じさせて頂きました。世の中が落ち着いたら、また、栃木に行きたいです!

『ほうきに願いを』
6月25日(金)より、高円寺シアターバッカスほか全国順次公開
監督・脚本:五藤利弘
プロデューサー:伍藤斗吾 大川伸介
原案:鈴木隆
出演:桃果 和泉詩 モロ師岡 岩瀬晶子 三坂知絵子 伊嵜充則
配給:One Scene

【ストーリー】 2011年。東日本大震災で未曽有の被害を受けたたくさんの人たち。その中で、被災した宮城県から栃木県鹿沼市に引っ越して来た母娘がいた。鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男は、家業だけでは生活が出来ないため副業として塾を経営している。男は宮城から鹿沼にやって来たその母子家庭の娘を支えてやろうと月謝を取らずに塾に通わせていた。高校受験を控えたその娘はしかし、心に負った震災の傷が癒えずに塾を休みがちになる。どうにかしてやりたいと思うが不器用な男は何もできない。さらに自分には実の娘がいて、娘としては他人の娘にばかり優しくする父が面白くない。見かねた妻がたしなめるが男はわかっていない。やりきれない心と心がすれ違い交わりそうで交わらない。息苦しい暮らしの中で娘たちは何かを見つけるのか。

©2021「ほうきに願いを」製作委員会