第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2020」でグランプリに輝いた石田智哉監督作『へんしんっ！』が、6月下旬に公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。

本作は、電動車椅子をつかって生活する石田智哉監督が、しょうがい者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー。

石田智哉監督は、演劇や朗読で活躍する全盲の俳優・美月めぐみさん、ろう者の通訳の育成にも力を入れるパフォーマーの佐沢静枝さんなど、多様な「ちがい」を橋渡しするひとたちを訪ねる。石田と撮影、録音スタッフの3人で始まった映画制作。あるとき石田は「対人関係でちょっと引いちゃうんです。映画制作でも一方的に指示する暴君にはなりたくないと思っていて」と他のスタッフに打ち明けた。対話を重ねながら、映画の作り方も変化していく。石田監督自身の心と体にも大きな転機が訪れる。振付家でダンサーの砂連尾理さんは、「しょうがい」を「コンテクストが違う身体」という言葉で表現した。「車椅子を降りた石田くんがどんなふうに動くのかを見てみたい」。そう誘われて、石田もパフォーマーとして舞台に立つことに。それは多様な動きが交差するダンスという関係性の網の目にみずからをあずける体験でもあった。

完成した映画は、第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2020」にて、審査に関わった映画のプロたちより「とにかく興奮した」「映画をつくる楽しみが、画面全体から伝わってきた」と激賞され、グランプリに輝いた。

本作は劇場公開にあたり、バリアフリー上映とするのではなく、日本語字幕、音声ガイドありの「オープン上映」を行う。「本作における、日本語字幕と音声ガイドは、この映画制作で自分が探究し、掴んでいったものを『自分なりに表現する』には不可欠なものとなった。この上映の形に、驚きや戸惑いが生じるかもしれない。だが最後まで、観たときに何らかの引っかかりや新しい感覚、面白さを感じてもらえたならば、作り手として、これほどうれしいことはない」と石田監督は語っている。

ポスタービジュアルは、アートユニット「小森はるか+瀬尾夏美」の最新作『二重のまち／交代地のうたを編む』や大ヒットドキュメンタリー『人生フルーツ』の宣伝美術を担当したグラフィック・デザイナーの成瀬慧が手掛けた。

『へんしんっ！』
6月下旬 ポレポレ東中野、シネマ・チュプキ・タバタほか全国順次公開
監督・企画・編集：石田智哉
出演：石田智哉　砂連尾理　佐沢（野﨑）静枝　美月めぐみ　鈴木橙輔（大輔）　古賀みき
ナレーション：ぺんぺん
配給：東風

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