『四月の永い夢』の中川龍太郎が監督、夏帆、村上虹郎、安達祐実、三浦貴大、瀧内公美、光石研、斎藤工ら実力派俳優陣が共演し、2020年春の多摩川を舞台に、8編のオリジナルストーリーで綴るオムニバスドラマ「息をひそめて」が、4月23日よりHuluにて配信されることが決定した。併せて、メインビジュアルと各話の場面写真がお披露目となった。
8話のオムニバスストーリーで構成され、2020年コロナ禍となった多摩川沿いの街が舞台の本作。【第1話】増田妃登美は食堂を営むも緊急事態宣言により客が激減、【第2話】大学生の高岡七海は帰りたい場所もなくひとり学生寮に留まり、【第3話】ごみ収集員アルバイト宮下心平と会社員松崎妃美は人と人が触れ合う機会が奪われる中、マッチングアプリで出逢う…。【第4話】三隅夕河は大学進学を控えるも、父・雅人との窮屈な日々の暇つぶしに宅配のアルバイトを始め、【第5・6話】リモートワークになった十和田淳と皐月の夫婦は24時間顔をつき合わせる生活、【第7話】高校3年生の珠美は最後の合唱コンクールが中止となるなど、それぞれ今までとは一変した生活を余儀なくされる。そして【第8話】高校教師の水谷光生は2021年晩秋、コロナ禍を経た未来の姿を描き出し、8編のショートストーリーが重なり合う。各話タイトルは「人も場所も全ては無くなる」「君が去って、世界は様変わりした」「たまに遠く感じる、君のことが」など、各話の主人公がつぶやくモノローグで印象的に展開されていく。
各話に登場する市井の人々を演じるのは、夏帆、村上虹郎、安達祐実、三浦貴大、瀧内公美、光石研、斎藤工ら日本のドラマ・映画を支える個性豊かな実力派俳優陣。そこに、石井杏奈、蒔田彩珠、萩原利久、⻑澤樹、横田真悠、小川未祐といった次世代を担う期待の若手が眩しいほどに輝き、美しく重なり合って異彩を放つ。
監督・脚本を務めるのは、『四月の永い夢』でモスクワ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評連名特別賞をダブル受賞し、その後『わたしは光をにぎっている』『静かな雨』など国内外で多数の賞を受賞してきた今最も注目を集める若手映画監督・中川龍太郎。映画監督として精力的に作品を発表しながら、詩人としても活動する中川が、この“いま”を生きる人々を美しく繊細に描き出す。中川監督は、『そこのみにて光輝く』を手掛けた脚本家・高田亮とタッグを組みオリジナルストーリーを構築。音楽を担当したのは、各地を旅しながら新たな旋律を生み出し続け、初のミュート・ピアノソロアルバム「スティルライフ」シリーズが話題のharuka nakamura。さらに、国内外で多数の賞を受賞してきたカメラマン・上野千蔵が、撮影監督として参加するなど、ひときわ目を引く活躍で各界に新たな刺激をもたらすスタッフが集結した。
▼スタッフ&キャスト コメント
■中川龍太郎(監督)
2020年は、世界中の誰にとっても、特別な一年だったと思います。
この物語は、その一年を生きた、河原の町で生活する“普通の人々”の物語です。誰もが息をひそめて生きていかざるをえなかったこの一年。「息をひそめて、前を向く」
困難な時代だからこそ、私たちは投げやりになることなく、背筋を伸ばし、生きられるかどうかが試されている気がします。こんな時だからこそ、優しく在りたい。そんな気持ちで紡いだ8つの結晶(物語)に触れてもらえましたら幸いです。
■夏帆(増田妃登美役/1、8話)
「息をひそめて」というタイトルがとても素敵だと思いました。生きることに器用になれない登場人物たちのささやかな変化を、柔らかな光と優しい眼差しで切りとった作品です。わたしが演じた妃登美は、凛とした強い女性に見えるけれど、脆くて繊細な一面も持ちあわせた女性です。そんな彼女が1話の中で、少しだけ心のドアを開いて、半歩踏み出すその姿を、丁寧に演じていきたいと思いました。
■石井杏奈(高岡七海役/2話)
脚本を読ませていただいた際に、まさにこの今の時代の流れを象徴している作品だととても思いました。自粛期間は、人と会わないことが人を救うことになるという、非日常のルールをみんなが感じていたと思います。この脚本を読んで改めてそのことを強く感じましたし、あの時に自分の感じた思いや気持ちが全て重なったので、この作品の世界に入ることがとても楽しみでした。
■村上虹郎(宮下心平役/3話)
短いストーリーの中で、脚本の段階から人間がすごく丁寧に描かれており、中川龍太郎監督という人が撮る作品は突出した刺激的なハプニングが起きることに執着することがなく、頼ったりせずに、日常から人の変化を見つけていくことがすごく得意な方だと思いますし、今回もその部分が存分に表れている作品になっていると思います。
■安達祐実(松崎妃美役/3話)
少しの男女の関係、恋愛っぽい雰囲気を見てる方に楽しんでいただけて、マッチングアプリで出会う男女のちぐはぐな感じに共感していただける部分があると思います。そして、この変わってしまった世界の中で、人々がどういう風に生きているかを見ていただき、何となく「ああ、そうだよな」って、どこかに心を寄せて共感してもらえたら嬉しいです。
■斎藤工(水谷光生役/1、7、8話)
この物語群はモノローグ(心の声)によって登場人物の心の形が補填され、言葉のやり取りだけではない、絵葉書のような風情、情感、余白の連鎖からなる、美しい私小説的な作品です。私自身演じていて浄化されていく感覚がありました。それぞれの物語に、観た方の心当たりが見付かる事を願っております。
「息をひそめて」
4月23日(金)より、Huluにて独占配信(全8話)
※初回のみ4話同時配信、以降毎週金曜1話ずつ追加
監督・脚本:中川龍太郎
脚本:高田亮
音楽:haruka nakamura
出演:夏帆 斎藤工 石井杏奈 萩原利久 長澤樹 村上虹郎 安達祐実 横田真悠 蒔田彩珠 光石研 三浦貴大 瀧内公美 小川未祐
【ストーリー】 東京と神奈川の境界線を流れていく水が東京湾に注ぎ込み、大きな空が広がる多摩川。自然豊かな川辺のそばを、スポーツを楽しむ人たちや、肩を寄せる恋人たち、歌の練習をする学生たち、自転車を走らせる人などが、思い思いに行き交っている。そんな川沿いで日々を過ごす人々の2020年コロナ禍の春。勤めていた会社を退職した妃登美(夏帆)は、思い出の味を頼りに亡き祖父が営んでいた食堂を再開させるが、2020年春、客足は激減。店をたたもうかと考えていると、ひとりの男性客・光生(斎藤工)が頻繁に来店し、祖父の代に人気メニューだった「あんかけレバニラ」と瓶ビールを注文するようになる。「実家に帰れない、寮で暮らす大学生」「マッチングアプリで出会った年の離れた男女」「ウーバーイーツでバイトをする娘と父親」「在宅勤務で24時間顔を突き合わせることになる夫婦」「最後の合唱コンクールが中止になった高校生」多摩川沿いで生きる人々の日常…。2021年、晩秋。高校の教師である光生(斎藤工)は、多摩川の河川敷で合唱部のコンサートを開催する。歌声が、川の流れに運ばれていく。その清らかな歌声を聴きながら、光生が見つけたことは…。