坂井真紀「言葉にできない感情との闘いだった」、奥田瑛二「恐る恐る完成試写に臨んだ」柄本佑『痛くない死に方』特報映像&場面写真

在宅医療のスペシャリストであり、実際に尼崎市で在宅医として活躍する長尾和宏のベストセラー「痛くない死に方」「痛い在宅医」を、『禅』『赤い玉、』などの問題作を発表し続ける巨匠・高橋伴明監督が柄本佑主演で映画化する『痛くない死に方』の公開日が2021年2月20日に決定した。併せて、本作の特報映像と場面写真がお披露目となり、原作者の長尾和宏、キャストの坂井真紀、奥田瑛二よりコメントも寄せられた。

本作は、日々仕事に追われ、家庭崩壊の危機に陥る在宅医師・河田仁が、大病院でなく在宅医だからこそできる医療を模索し、人と向き合うことを実践していく成長物語。

▼スタッフ&キャスト コメント

■長尾和宏(原作・医療監修)
この映画は拙書「痛くない死に方」と「痛い在宅医」が原作である。しかし高橋伴明監督には他の本も読んで頂き、とても練られた脚本を書いて頂いた。秀逸な川柳はもちろん監督の作品だ。国策である在宅医療はこれまで美談でしか語られてこなかった。リアルを語るとすぐに矢が飛んできた。でも僕は美談が大嫌い。患者目線、家族目線から見た在宅医療とはどんなものなのか。どうすれば望む最期が本当に叶うのか。どんな医者を選べばいいのか。百聞は一見にしかずというが、まさにこの映画に在宅医療の本質が凝縮されている。僕の夢はこの映画を大病院の医師・看護師だけでなく医学生・看護学生にも観てもらうことだ。そのためにはまずは多くの市民に観てもらい評価されないと叶わない。どうか応援よろしくお願いします。

■坂井真紀(智美役)
「死」というものへと向かっていく家族と向き合う日々は、演じていることという枠をこえて、言葉にできない感情との闘いでした。高橋監督の生命力あふれる演出に助けられ、智美という女性の人生を歩かせていただきました。人生の終わりに近づいた時までも、私たちはたくさんの選択を迫られますが、この作品が、私たちの未来への希望となり、人生最後の時がよりあたたかいものになればと願います。

■奥田瑛二(長野浩平役)
人が人として向き合う。それは己と向き合うことではないだろうか。一人の医師として患者と向き合う。人には必ず死が訪れる。「生きるとは、食べること」この台詞、小生、NGを連発してしまった。撮影時を思い出すために書棚に納めてある台本を一年半ぶりに手に取りページをめくった。「生きるとは、食べること」そこに線が引いてあり、さらに上部の空白に大きく自筆で書いてあった。なのに撮影時のNG連発、原因はいかにその台詞がこの映画にとって大切な言葉であるかという証しである。それを一人の医師として表現する。己と役の医師、長野浩平、さらに原作者であるこの役のモデルでもある長尾和宏先生、一体感を持ち現場に満々と臨んでいるつもりだったのであるが上手くいかない。不思議と自律神経が崩壊してナーバスになることはなかったが、その日のビールはいつもと違う苦さだった。恐る恐る完成試写に臨んだ。その日のビールは珠玉の苦味、美味かった。

『痛くない死に方』
2021年2月20日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国公開
監督・脚本:高橋伴明
原作・医療監修:長尾和宏
出演:柄本佑 坂井真紀 余貴美子 大谷直子 宇崎竜童 奥田瑛二 大西信満 大西礼芳 下元史朗 藤本泉 梅舟惟永 諏訪太朗 田中美奈子 真木順子 亜湖 長尾和宏 田村泰二郎 東山明美 安部智凛 石山雄大 幕雄仁 長澤智子 鈴木秀人
配給:渋谷プロダクション

【ストーリー】 在宅医療に従事する河田仁(柄本佑)は、日々仕事に追われる毎日で、家庭崩壊の危機に陥っている。そんな時、末期の肺がん患者である井上敏夫(下元史朗)に出会う。敏夫の娘の智美(坂井真紀)の意向で痛みを伴いながらも延命治療を続ける入院ではなく“痛くない在宅医”を選択したとのこと。しかし、河田は電話での対応に終始してしまい、結局、敏夫は苦しみ続けてそのまま死んでしまう。「痛くない在宅医」を選んだはずなのに、結局「痛い在宅医」になってしまった。それなら病院にいさせた方が良かったのか、病院から自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのかと、智美は河田を前に自分を責める。在宅医の先輩である長野浩平(奥田瑛二)に相談すると、病院からのカルテでなく本人を見て、肺がんよりも肺気腫を疑い処置すべきだったと指摘される河田。結局、自分の最終的な診断ミスにより、敏夫は不本意にも苦しみ続け生き絶えるしかなかったのかと、河田は悔恨の念に苛まれる。長野の元で在宅医としての治療現場を見学させてもらい、在宅医としてあるべき姿を模索することにする河田。大病院の専門医と在宅医の決定的な違いは何か、長野から学んでいく。2年後、河田は、同じく末期の肺がん患者である本多彰(宇崎竜童)を担当することになる。以前とは全く違う患者との向き合い方をする河田。ジョークと川柳が好きで、末期がんの患者とは思えないほど明るい本多と、同じくいつも明るい本多の妻・しぐれ(大谷直子)と共に、果たして、「痛くない死に方」は実践できるのか。

©「痛くない死に方」製作委員会