森山未來「KIRINJIへの愛」、北村匠海「手の大きさ」、勝地涼「森山未來への愛」人に誇れる特技&趣味を明かす!

『百円の恋』、「全裸監督」の武正晴監督が、森山未來主演、北村匠海、勝地涼共演で贈る『アンダードッグ』が、11月27日より公開中。このほど、11月28日にホワイトシネクイントにて公開記念舞台挨拶が行われ、キャストの森山未來、北村匠海、勝地涼、そして武正晴監督が登壇した。

はじめに、元日本ライト級ボクサーで今は“かませ犬”としてリングに立つ主人公・末永晃を演じた森山は「初日が昨日で今日は二日目、本当にありがとうございます。ボクシング映画ではありますが、立ち上がりたくても立ち上がれないような境遇のなか、それでも生きざるをえない人たちの物語があって、その想いをリング上でぶつけるところでボクシングというものが出てきます。ルーザーたちがどうしてボクシングに向き合わないといけないのか、そこにドラマがある作品ですので、その物語を最後まで楽しんでいただければと思います」と挨拶した。

続いて、将来を期待される若手天才ボクサー・大村龍太を演じた北村は「劇中の龍太がそうですが、僕自身もボクシングに魅せられていく感覚を味わいながら撮影に挑みました。ここまで自分自身と向き合い、どんなにきつくても自分に牙をむけるような、ストイックにならざるを得ない撮影は充実でしたし、その作品がやっと皆さんに届くと思うと嬉しいです」、バラエティ番組の企画でボクシングに挑戦することとなるお笑いボクサー・宮木瞬を演じた勝地は「僕自身、自分が演じた宮木瞬という男にリンクするものがあって…、カメラが回ってると頑張っちゃうとか、本当は真面目な男なのに、ふざけちゃうといいますか(笑)。この役に出会えたことが有難いですし、出会えたことで次のステップに進めるなと思いながら演じることができました」、そして武監督は「前後編で、皆さんには半日をこの映画に費やしていただくこととなり、嬉しいです。前編では宮木の頑張りを観ていただいたと思いますが、後半の晃と龍太の死闘も是非お楽しみいただければと思います」とそれぞれ口にし、会場からは大きな拍手が巻き起こった。

様々な理由を背負ったボクサーたちの三者三様のドラマが描かれていく本作だが、それぞれの登場人物には最初に名前が挙がった理想通りのキャスティングが決定したという。そこで森山がオファーを受けた理由について問われると、「もう…、武監督と脚本の足立紳さんの『百円の恋』が素晴らしかったので、そのチームが再結集してボクシング映画を作ると聞いて、あの世界観に僕が飛び込めると思うと魅力的だなと思いました」と即答し、監督も「晃のキャスティングは、プロデューサーや足立と脚本を読みながら、森山さんがやってくれたらいいなと最初から思っていたキャラクターでした」と述懐した。

また北村は「20代前半の誰しもがこの挑戦を突きつけられたら、リングを上るしかないだろうと思います。そんな挑戦を僕に送ってくださったので、二つ返事でやりますとお答えさせていただきました。挑戦する自分自身に対しても楽しみでしたし、この素晴らしい監督や共演者の方々に揉まれながらどうなっていくのか楽しみでした」と振り返り、実際の撮影については「正直、撮影は覚悟をしていた以上の大変さではありましたが、後編で描かれる森山さんとの試合シーンは乗り越えた後に何とも言えない達成感があって、いい経験をさせていただいたなと思いました」と手ごたえを明かした。

勝地は「僕は、武監督と足立さん、そして未來くんと北村くんが出演すると聞いて、“やります!”と。後から“芸人の役なんだ”、“ネタがあるんだ”と知ってプレッシャーが襲ってきました。台本のト書きにも“ネタをやる。面白くない。”としか書いてなくて(笑)」とこぼすと、森山が「(勝地は)面白いから難しいよね」と突っ込み、そこへ勝地が「そう、おもしろいから(笑)」とノッてボケをかまし、会場の笑いを誘った。改めて監督も「メインだけでなく、ワンポイントで出演している方も含めて本当にいい俳優が集結しました。現場で生まれる熱量や、シナリオにもない世界というのが、このメンバーだとどんどん出てきて、試合のシーンは出演者全員が主演と思えるほどの仕上がりになったと思います」と喜びを滲ませた。

ボクサーを演じるにあたって、撮影前に体作りやトレーニングに励んだ面々。『百円の恋』や『あゝ、荒野』でボクシング指導を務めた松浦慎一郎が本作にも参加し、キャスト陣のトレーナーとして練習をバックアップした。森山は「僕の役柄は元ライト級日本ランク一位なので、ちょっとボクシングをかじっただけじゃごまかしきれないだろうと思いまして、撮影の約一年前からトレーニングを開始しました。ボクシング観る習慣も格闘技をやることもなかったので、パンチを打つことから始めて、殴ったことも殴られたこともないから、その感覚を知りたい一心で練習しました。ダンスパフォーマンスの公演で台湾にいたときも、松浦さんに台湾まできていただいて一緒にスパーリングやっていただきました」と振り返った。

そして撮影のために約10キロもの減量を行ったという北村は「ウェイトトレーニングをするよりは、ボクシングで体重を落とそうと思ったので、食事軽減やシャドー、縄跳びをして、走って、というトレーニングをやっていたのですが、他の仕事にも結構支障が出てしまうこともあって…そういうものも乗り越えていきました」、勝地は「僕の役はお笑い芸人なので、ボクシングについては素人で無謀な挑戦をするという役。ボクシングの技術を磨くよりは、パンチを受けたり、大振りで外す練習を何度もして、泣きたくなるくらい追い込んで体力をつけていきました」とそれぞれ裏エピソードを明かした。

次に、チャンピオンになれなかった男たちのドラマが描かれる本作にちなみ、“これなら自分がチャンピオンだ”と周囲に誇れる特技や趣味について問われると、森山は「なにがあるだろう…、映画と関係ないけど、ここにいる人のなかでは、KIRINJIへの愛は自分が間違いなくチャンピオンですね!」と宣言。隣で北村が「僕もKIRINJIが好きなので、僕は2位です」と明かし、二人で盛り上がる場面も。続いて北村は「手の大きさは負けたことないです。バスケ部だったときにバスケ雑誌で選手の手形があって、そこで勝ってからずっと負け無しです」と意外な一面をみせた。悩みながら語りだした勝地は、「二つあるんだけど…」と切り込み周りを驚かせると、「馬鹿になることでは誰にも負けないのと、森山未來を愛していることにも誰にも負けない!未來くんのことを10代から見てきたんですが、かっこいいんですよ。初めて会った時から異質だった。個性があって、やりたいことを表現して、世界にも行って、どこまでも遠くに行くなぁ…って。この映画の撮影で、一番嬉しかったのは、森山未來に“勝地良かったね”って言ってもらえたことです!」と告白。森山も照れた様子で笑い、付き合いの長さからくる仲の良さを見せつけた。

最後に、これから後編の上映を鑑賞する会場の客席に向けて、森山は「本作は今年が明けた冬に撮って、そのあと自粛期間に入ってしまったので、今の時世ともリンクする部分があると思っていて。3人のボクサーの背景は、どうしてこんな人生になってしまったのかわからないけど、地べたを這いずる人生を選ばないといけなかった人たち。もう一度立ち上がらないといけない、そのエネルギーは大変だけど、それでも立ち上がるきっかけを湧かせてくれる、そんな映画になっていると思います」、北村は「今年は大変な一年となってしまいましたが、そんな年の終わりに、『アンダードッグ』という自分の中できっと何歳になっても思い出すだろうなと思える作品が公開できて嬉しいです。作品に最後まで向き合った自分の生き様もちゃんと映画に映っていると思います。何より、最後二日間かけて試合シーンを撮影した後に、森山さんとふたりで食べたカキフライが美味しくて…。全てを出し尽くした後のあの感動は忘れられないです」、勝地は「この映画を撮り終わった後、すぐ自粛期間に入ってしまいましたが、僕らの仕事はお客さんがいて成立するものだと改めて思ったし、今日ここで満員のお客さんの前で挨拶をさせていただいて幸せに思います。男性たちの物語に見えますが、ご覧いただいた方ならわかる通り、彼らを支える女性たちの物語でもあると思います。いろんな方に是非広めていただきたいです」、そして武監督は「3人がスクリーンの中で演じていることは簡単なことではありません。この3人は本当に有難い3人です。今年公開できて、ここで舞台挨拶ができていることに、映画に携わってくださった関係者の皆さん、お客さんにも感謝したいです。映画っていうのはお客様が完成させてくれるものだと思いますが、映画で描かれる最後の試合も、後楽園にいた人、見てくれている人が、その名勝負を作ってくれたと思っている。その様を、体感していただきたいと思います」と本作に込めた並々ならぬ想いを語り、本イベントは幕を閉じた。

劇場版『アンダードッグ』<前編><後編>
11月27日(金)より、ホワイトシネクイントほか全国公開中
監督:武正晴
原作・脚本:足立紳
音楽:海田庄吾
主題歌:石崎ひゅーい「Flowers」
出演:森山未來 北村匠海 勝地涼 瀧内公美 熊谷真実 水川あさみ 冨手麻妙 萩原みのり 風間杜夫 柄本明 佐藤修 竹原慎二 山本博(ロバート) 友近 バッファロー吾郎A 好井まさお じゅんいちダビッドソン ツムラフェスティバル ジャッキーちゃん
配給:東映ビデオ

【ストーリー】 手にしかけたチャンピオンへの道からはずれた今も“かませ犬(=アンダードッグ)”としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々をおくる崖っぷちボクサー・晃(森山未來)。幼い息子には父親としての背中すら見せてやることができず“かませ犬”から“負け犬”に。プライドも粉砕され、どん底を這いずる“夢みる”燃えカスとなった晃は、宿命的な出会いを果たす。一人は、 “夢あふれる”若き天才ボクサー・龍太(北村匠海)。児童養護施設で晃と出会いボクシングに目覚めるが、過去に起こした事件によってボクサーとして期待された将来に暗い影を落とす。もう一人は、夢も笑いも半人前な “夢さがす”芸人ボクサー・宮木(勝地涼)。大物俳優の二世タレントで、芸人としても鳴かず飛ばずの宮木は、自らの存在を証明するかのようにボクシングに挑む。 三者三様の理由を持つ男たちが再起という名のリングに立つとき、飛び散るのは汗か、血か、涙か!?

配信版『アンダードッグ』
2021年1月1日より、ABEMAプレミアムにて配信開始

©2020「アンダードッグ」製作委員会