第21回太宰治賞を受賞した、芥川賞作家・津村記久子のデビュー作を、佐久間由衣主演、奈緒共演で映画化する『君は永遠にそいつらより若い』が、2021年に公開される。それに先がけ、11月1日に第33回東京国際映画祭TOKYO2020 プレミア部門にてワールドプレミアが開催され、キャストの佐久間由衣、奈緒、そして吉野竜平監督が登壇した。併せて、主題歌が、シンガーソングライター・小谷美紗子による楽曲「眠れない」に決定した。
大学卒業を間近に控えた堀貝役の佐久間は、自身の役柄について「この映画の登場人物すべてに言えることですが、普段私たちが街を歩いていてすれ違っていてもおかしくない人たちがキャラクターとして描かれています」と等身大の物語であることを強調し、「見た目的にはどこにでもいるようなキャラクターですが、コンプレックスや消化しきれない悶々とした思いを感じているような女の子です。表面的には調子がいいけれど、自分に対して自信がなくて、何かが上手くいっていないのは自分のせいだと自分に問いかけている女の子だと思って演じました」と明かした。
続いて、堀貝と特別な関係を築く猪乃木楠子役の奈緒は、「過去に傷を抱えている役柄で、その大きな傷によって自分を肯定できずに生きている女の子です。そんな猪乃木楠子が様々な人との出会いを通して変わっていくのかどうか、その時々で感じで心が動かされるままに演じられればいいと思いました」と撮影を回想した。
本作で初共演となった同い年の佐久間と奈緒は、クランクイン前に吉野監督からプチドッキリを仕掛けられたという。奈緒は「監督と私と佐久間さんの3人で本読みをするのかと思ったら、急に監督から『今から二人っきりで30分くらいお茶をしてきて。そこで仲良くなって』と言われました」と振り返った。そこでの佐久間の印象について、「感覚が合う人だと思いました。一緒にいるときに肩ひじを張らずに笑える方というか、距離感がとてもいい。佐久間さんと一緒で良かった」とニッコリ。一方の佐久間は、「元々素敵な女優さんだと思っていたので、初共演は嬉しかった」と相思相愛の様子。いきなりのお茶時間には「奈緒ちゃんが猪乃木楠子さんをイメージしたような洋服や雰囲気をまとわれていて、それもあって扉を開けて挨拶をしたときに『目の前に猪乃木さんがいる!』と思った。そこから二人の関係性も見えてきたので、その佇まいも含めて改めてカッコよくて素敵な女優さんだと思いました」と再リスペクトしていた。
最後に、吉野監督は「コロナが大変なことになる前の撮影で、脚本を書いているときもまさか世界がこのような状況になるとは思わず…。この映画のテーマの一つに“大切な人が突然いなくなる”というものがあります。実際に“なんでこの人が!?”と言うことが最近多い。そんな状況下でこの作品が期せずして作られて上映される。観てくれた方に勇気を与えて、元気づけられたら嬉しいです」とアピールした。
■小谷美紗子(主題歌) コメント
「君は永遠にそいつらより若い」は勇敢な映画だ。勇敢に実態を曝け出し、嘘くさくない優しさや絆がどんな香りか教えてくれる。観た人の帰り道や明日からの歩幅に、ずっとそっと寄り添ってくれるだろう。日常と向き合う全ての人々が、一人で戦っているんじゃないんだと、この映画に背中をさすられるだろう。そんな映画の一部となる主題歌「眠れない」を書くことができ感謝。映画と共に自立する様に、自由に有りの儘に書かせて頂けたことで、より一層この映画らしい主題歌に仕上がった。役者さんの表情や仕草、台詞や風景からのメッセージを受け取った人々が、今日何かを確信し、信念を手に取る姿が目に浮かぶ様だ。
『君は永遠にそいつらより若い』
2021年 全国公開
監督・脚本:吉野竜平
原作:津村記久子「君は永遠にそいつらより若い」
主題歌:小谷美紗子「眠れない」
出演:佐久間由衣 奈緒 小日向星一 笠松将 葵揚 森田想
配給:Atemo
【ストーリー】 児童福祉職への就職が決まり、大学卒業を間近に控え手持ちぶさたな日々を送る堀貝(佐久間由衣)は、身長170cmを超える22歳、処女。変わり者とされているが、さほど自覚はない。バイトと学校と下宿を行き来し友人とぐだぐだした日常を過ごしている中、同じ大学の猪乃木(奈緒)と知り合うが、過去に痛ましい経験を持つ猪乃木とは、独特な関係を紡いでいく。そんな中、友人の友人、穂峰が自ら命を絶ち、堀貝を取り巻く日常の裏に潜む“暴力”と“哀しみ”が顔を見せる…。
©『君は永遠にそいつらより若い』製作委員会