蒼井優「すごい“圧”がある」、高橋一生「ここにあるという現実感がない」ベネチア国際映画祭銀獅子賞の生トロフィーに感動!

日本を代表する映画監督・黒沢清が、主演に蒼井優、共演に高橋一生を迎え、6月6日にNHK BS8Kにて放送された同名ドラマを、スクリーンサイズや色調を新たにして映画化する『スパイの妻<劇場版>』が、10月16日より公開される。このほど、10月7日にユーロライブにて配信トークライブが行われ、キャストの蒼井優、高橋一生、そして黒沢清監督が登壇し、日本人作品としては17年ぶりの快挙となるベネチア国際映画祭銀獅子賞の実物のトロフィーを披露した。

つい先日、ベネチアから到着したトロフィーを前に黒沢監督は「ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選ばれただけで、もう十分幸せだったんですが、おまけにこのような賞をいただけて…。そのニュースを聞いたときは『やった』と思いつつ、実感がなかったんですが、このトロフィーが届いて、なにやら映画の歴史に名前が刻まれたんだなという感慨がわいてきました」としみじみと語った。そして、初めてトロフィーを目にした蒼井は「人生でこんな近くで(トロフィーを)見ることができるなんて…。触れる距離にあるんですけど、(おそれ多くて)全然、触ろうと思わないというか、すごい“圧”があります」、高橋は「同じくです。ここにあるという現実感がないです」と実物を前にして、緊張した面持ちだった。

この日のトークは、事前にファンから集められた質問、および同時進行でTwitterに寄せられた質問に可能な限り、3人が答えていくという形式で進行。劇中、1940年代の時代に合わせた様々な衣装が登場するが、お気に入りの衣装を尋ねられると、高橋は、蒼井が映画のポスターでも着用する黄色いワンピースを「かわいかった」と語り、自身も同様にポスターで見られる、街中のシーンで着用していたスーツがお気に入りだと明かした。蒼井は「山に行くときのモンペが好きです。モンペを着ると落ち着くんです(笑)」と意外な回答を口にした。

黒沢監督の語り口について、ライブ配信のTwitterでは「監督が優しい!」というコメントが多く寄せられたが、蒼井は黒沢監督について「今回で(一緒に仕事をするのは)3本目なんですが、初めて監督が神戸の出身で、関西人なので笑いをなるべく大切にされていると伺って…。現場では寡黙なイメージがあったので意外でした」と語り、高橋も「まさか笑いを取ろうと思っているとは…(笑)」と驚いていた。

また、蒼井と高橋はお互いの印象、魅力を尋ねられると、高橋は「夫婦役は2度目だったんですが、お芝居に関しては全幅の信頼を置いているので、楽しみで仕方がなかったです」と笑顔で振り返った。一方、蒼井は「尊敬してる先輩なんですが、一緒に何かを作るということをさせていただけるのがありがたいです。すごい先輩であることを知りつつ、一緒に歩んでくださることに感謝しています。できればまた共演したいです!」と再共演を熱望していた。

最後に、高橋は「見方によっていろんな捉え方ができる映画。根幹にあるのは、人が人を思うということ、人間的に生きていくための根源的なテーマが随所にまぶされている作品だと思います」、蒼井は「人によってはホラーよりも怖い映画だと思います。夫婦の映画でありながら、ミステリーであり、謎がたくさんあって、見る人の数だけ答えがあります。ぜひ劇場で面白さと恐ろしさを楽しんでください」とコメント。そして、黒沢監督は改めて蒼井と高橋について「すさまじいお芝居を見せてくれる」と絶賛し、「時に剛速球を、時にはすごい変化球が見ている方に飛んでいくので覚悟してご覧ください。それはみなさんを傷つけるのではなく、必ず心の中に刺さっていくと思いますので、どうか真正面から受け止めてください」とメッセージを送り、トークライブは幕を閉じた。

『スパイの妻<劇場版>』
10月16日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:黒沢清
脚本:濱口竜介 野原位
音楽:長岡亮介
出演:蒼井優 高橋一生 東出昌大 坂東龍汰 恒松祐里 みのすけ 玄理 笹野高史
配給:ビターズ・エンド

【ストーリー】 1940年、神戸で貿易商を営む優作(高橋一生)は、赴いた満州で偶然恐ろしい国家機密を知り、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子(蒼井優)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく…。

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