サンフランシスコを舞台に、都市開発により取り残された人々の物語『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』場面写真

映画製作スタジオA24とプランBが、アカデミー賞作品賞受賞作『ムーンライト』以来となるタッグを組んで贈る最新作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が、10月9日より公開される。このほど、本作の場面写真がお披露目となった。

本作の舞台となるのは、ゴールデン・ゲート・ブリッジや坂道を走る路面電車、優雅に佇むヴィクトリアン様式の家が並ぶ情緒豊かなサンフランシスコ。歴史あるこの街は、急速な発展によって地価が高騰し、富裕層が多く住むようになったことで、代々住んでいた者たちは行き場所を失っていた。主人公を実名で演じた、ジミー・フェイルズもその一人。メガホンをとったジョー・タルボット監督は、幼なじみであるフェイルズが体験してきた物語を自身初の長編映画として作り上げた。本作は、サンダンス映画祭で監督賞と審査員特別賞をダブル受賞したほか、世界各国の映画祭で高い評価を受け、オバマ前米大統領が選ぶベストムービー(2019)にも選出された。

生まれ育った場所が面影も残らないほど変化することで、大切な記憶が上書きされ、自分のアイデンティティまで否定されてしまうような感覚。それは一見パーソナルな物語でありながら、今や世界中で起きつつある問題を描く。多くの財産をもたず、大都市の片隅に追いやられても、家族の記憶が宿る美しい家や、かけがえのない親友を大切にするジミー。そんな彼の姿は、「人生にとって、本当に必要なものとは何か」を見つめ直したい今だからこそ、私たちに温かい抱擁のような余韻を残し、寄り添ってくれる。

本作はジョー・タルボット監督や、出演する全てのキャストが生まれ育ったサンフランシスコで撮影された。タルボット監督は、本作について「(急速な都市開発といった)サンフランシスコで今起きているような変化は世界各地でも見られているけど、僕はこういう映画を作る以外に何をすればいいのか分からない。急激に変わっていく街の様子を映像に留めておくしかないんだ」と語る。実際に映画の撮影中の短い期間の間でも、建築物の取り壊しなどがあり撮影がストップしたこともあったという。場面写真には、そんなサンフランシスコの街並みや、主人公・ジミー(ジミー・フェイルズ)の心の拠り所である歴史ある美しい家、さらにはジミーとその親友・モント(ジョナサン・メジャース)がスケートボードで街を駆ける姿や、かつて家族と住んだ家の中で佇むジミーの姿などが収められる。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
監督・脚本:ジョー・タルボット
原案:ジョー・タルボット ジミー・フェイルズ
共同脚本:ロブ・リチャート
音楽:エミール・モセリ
出演:ジミー・フェイルズ ジョナサン・メジャース ロブ・モーガン ダニー・グローヴァー
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 サンフランシスコで生まれ育ったジミー(ジミー・フェイルズ)は、祖父が建て、かつて家族と暮らした記憶の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。この家に再び住みたいと願い奔走するジミーの思いを、親友モント(ジョナサン・メジャース)は、いつも静かに支えていた。今や“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、彼は自分の心の在り処であるこの家を取り戻すことができるのだろうか。

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