トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門にて長編日本映画史上初の審査員特別賞受賞の快挙を達成した『アイヌモシリ』が、10月17日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。
近年、「アイヌ新法」成立や、直木賞受賞作「熱源」、大ヒットコミック「ゴールデンカムイ」により、多くの人がアイヌの文化の多様性や自然との共生を大切にする精神性に新たに魅せられている。前作『リベリアの白い血』が国内外で高く評価された、新鋭・福永壮志監督が5年をかけて作り上げた本作は、北海道阿寒湖・アイヌコタンを舞台に、少年の成長を通して現代のアイヌ民族のリアルな姿を瑞々しく描いた物語。トライベッカ映画祭国際コンペティション部門にて審査員特別賞を受賞し、映画祭からは「福永壮志という独自の視点をもった有望な監督の発見である!」と正式にコメントが寄せられ、審査員の映画監督のダニー・ボイルや俳優のウィリアム・ハートらに絶賛された。
本作にて初主演を果たしたのは、アイヌの血を引く新星・下倉幹人。演技は初めてとなるが、力強い眼差しが印象的な主人公・カントを熱演し、アイデンティティーにゆれる等身大の役どころに挑んだ。そのほか主要キャストもアイヌが務め、三浦透子、リリー・フランキーら実力派がゲスト出演する。
ポスタービジュアルには、「少年は、世界に触れた」という力強いコピーと共に、主人公・カント(下倉幹人)が阿寒の美しい冬の景色の中で佇む姿が収められる。アイヌ文様のデザインを担当したのは、カントの母を演じたアイヌ工芸作家の下倉絵美。上品で繊細なアイヌ文様が作品世界にリンクしている。
『アイヌモシリ』
10月17日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:福永壮志
プロデューサー:エリック・ニアリ 三宅はるえ
出演:下倉幹人 秋辺デボ 下倉絵美 三浦透子 リリー・フランキー
配給:太秦
【ストーリー】 14歳のカント(下倉幹人)は、アイヌ民芸品店を営む母親のエミ(下倉絵美)と北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで暮らしていた。アイヌ文化に触れながら育ってきたカントだったが、一年前の父親の死をきっかけにアイヌの活動に参加しなくなる。アイヌ文化と距離を置く一方で、カントは友人達と始めたバンドの練習に没頭し、翌年の中学校卒業後は高校進学のため故郷を離れることを予定していた。亡き父親の友人で、アイヌコタンの中心的存在であるデボは、カントを自給自足のキャンプに連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教えこもうとする。少しずつ理解を示すカントを見て喜ぶデボは、密かに育てていた子熊の世話をカントに任せる。世話をするうちに子熊への愛着を深めていくカント。しかし、デボは長年行われていない熊送りの儀式、イオマンテの復活のために子熊を飼育していた。
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