『日日是好日』の大森立嗣監督が、長澤まさみ主演、阿部サダヲ共演で贈る『MOTHER マザー』が、今夏に公開される。このほど、長澤扮する秋子の17歳の息子・周平役を奥平大兼、そのほか夏帆、皆川猿時、仲野太賀、木野花が出演することが発表され、併せて、本作の予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」から着想を得て映画化に至った衝撃作。ゆきずりの男たちと関係を持つことで、その場しのぎの生活をおくる自堕落で奔放な女・秋子。しかし、彼女の幼い息子・周平には、そんな母親しか頼るものはなかった。やがて寄る辺ない社会の底辺で生き抜く、母と息子の間に“ある感情”が生まれる。そして、成長した周平が起こした“凄惨な事件”。彼が罪を犯してまで守りたかったものとは…?
母親と息子の関係が、息子の幼少期から青年期を通して描かれる本作。長澤まさみ演じる母親・秋子の歪んだ愛情しか知らずに育った17歳の少年・周平を演じたのは、本作が初オーディション初スクリーンデビューとなる新人・奥平大兼(おくだいらだいけん)。俳優への道は、友人との帰り道、渋谷駅の改札で一人足止めされた際に、事務所から声をかけられスカウトされたことから始まる。「勉強のために」と初めて受けたオーディションで今回の大抜擢となった。そのほか、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、木野花と豪華キャストが脇を固める。
予告編は、センセーショナルな導入から始まる。母・秋子(長澤まさみ)の「あれはあたしが産んだ子なの。あたしの分身。舐めるようにしてずっと育ててきたの」という台詞からは、母と息子・周平(奥平大兼)の歪んだ愛情が伝わってくる。さらに、「学校、行きたいんだけど」と母親に訴える周平の、母親と外側の世界の間で揺れる葛藤も描かれる。
ポスタービジュアルには、秋子が周平に恋人のように寄りかかる姿が収められており、周平目線の「こんな母親でも僕にとって世界(すべて)」というコピーが印象的だ。
■奥平大兼(周平役) コメント
オーディションを受けること自体が初めてで、勉強になればとオーディションを受けました。審査側の机は選考書類の山でしたし、絶対受かるわけがないと思っていたので、合格の連絡を聞いたときは、嬉しいよりも驚きの方が大きかったです。撮影に入る前に、大森監督の俳優ワークショップを受けていたのですが、いざ現場に入ると、過酷な環境の中で生きる周平を演じきれるかとても不安でした。長澤さんが「大丈夫」と優しく声を掛けてくださり、お母さんのように接してくださったおかげで、脚本を読んで僕が感じた周平を演じることができました。今回この役を演じることで、周平のような子供が世の中にいるんだ…と実感し、色々と考えされられました。本作を観て、もしかしたら自分の身近にもいるかもしれない、と考えていただくきっかけになればいいなと思います。
■長澤まさみ(秋子役) コメント
奥平くんは初めてお芝居をするとは思えないくらい堂々としていて、感じたことや思ったことを素直に反応してくれたので、今回、私はとても助けられていたように思います。そこで生まれた感情に大きく揺れ動く姿と対峙することで、自分も素直に演じることができました。お芝居は、その瞬間瞬間の感情を表現することが大切だと改めて感じさせられました。
■大森立嗣(監督・脚本) コメント
頭で考えてできるような役ではないから、撮影が進む中で自分が感じることを大事にして欲しいと、とにかくずっと言い続けていました。彼が偉かったのは、演技の中で嘘をつかないことをやり通せたこと。素直だからこそ、嘘をつくのは嫌だという感覚が本人の中にあって、嘘をつかないためには自分がそこでどういう気持ちにならなければいけないのかという作業を、撮影中の彼は常にしていたと思います。
『MOTHER マザー』
今夏 全国公開
監督・脚本:大森立嗣
脚本:港岳彦
出演:長澤まさみ 阿部サダヲ 奥平大兼 夏帆 皆川猿時 仲野太賀 木野花
配給:スターサンズ KADOKAWA
【ストーリー】 男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきた秋子(長澤まさみ)。シングルマザーの彼女は、息子の周平(奥平大兼)に奇妙な執着を見せ、忠実であることを強いる。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず、翻弄されながらも応えようとする周平。彼の小さな世界には、こんな母親しか頼るものはなかった。やがて身内からも絶縁され、次第に社会から孤立していく中で、母と息子の間に生まれた“絆”。それは17歳に成長した周平を一つの殺害事件へ向かわせる…。何が周平を追い込んだのか?彼が罪を犯してまで守ろうとしたものとは?
©2020「MOTHER」製作委員会